「おい女、お前はいつもこんな感じで暴力を振るわれていたのか?」
涙を流しながら怯えているあなたがコクリと頷く
「そうか…それは辛かったな…」
泣いているあなたに声をかけ、ローは優しく頭を撫でた
突然の事に驚いたが、その優しい手の温もりを感じ、あなたは更に泣いてしまった
「私が………酒屋ではた……働くように…な…なって…それから…あの人…変わってしまって…」
泣きながら途切れ途切れに話し出したあなたの言葉に耳を傾けるロー
「前はすごく優しかったの…でも、今は身に覚えの無い理由で…よく殴られるようになって…」
よく見るとあなたの身体には治りかけの黄色く変色したような痣や出来たばかりの痣、傷を隠そうとしたのだろう絆創膏なんかも多数あった
「お前…あなたって言ったか…」
涙を指ですくい上げローが問うとコクリと頷くあなた
「あなた、このままこの島にいても、またこの男が何かしてくるかもしれねぇ…」
投げ飛ばされ伸びている男をローが見れば、あなたもその男に目をやった
確かにこのままこの島にいても、いずれ目を覚ますだろうこの男にまた同じ事をされるだろう…
いや、むしろ殺されてしまうかもしれない…
だからといって、どこにも行く宛のないあなたにローは言った
「俺の船に来るか?」
願ってもいないその言葉にあなたは戸惑い、言葉が出てこない
「あの…」
なんとか言葉を繋ごうとするが、相手は海賊…本当に信用してもいいものか…
「俺の船にいるクルー達は皆イイヤツばかりだ…お前の事も歓迎してくれるだろう…何より、お前には安全な場所が必要だ」
"安全な場所"
その言葉にあなたの心が反応する
誰にも縛られたくない…
暴力なんか受けたくない…
この男から離れたい…
大体、私がこの島を離れても悲しむ人は誰もいないじゃないか…
「どうする?」答えを促すローからの問いかけ
「私…一緒に行きます!!連れてって下さい!!」
吹っ切れたようにあなたが言った
「一緒にあなたの心のケアもしてやらなきゃな…俺は医者だ」
ニヤリと笑うローがあなたに手を差し伸べる
その手を掴み立ち上がると「医者なら私の下手くそな手当なんて必要なかったですね…」と少し頬を膨らませ皮肉交じりにあなたは言う
「気になる女が自分に触れるチャンスをみすみす逃す男はいないだろ」
驚いた顔でローを見れば「この店に入った時からあなた、お前の事が気になっていた…これから何があっても俺が守ってやる」と抱き締められた
「あっ!キャプテンが帰ってきた!!」
「ん??隣に女いねぇーか?」
「何者なんだあの女…」
「キャプテーン!お帰りー!!その子誰??」
「あぁ…遅くなったな…コイツは今日からこの船に乗るあなただ、仲良くしてやってくれ」
「あなたです…よろしくお願いします」
頭を下げれば皆から歓迎され、嬉しく思うあなた
「ちなみにあなたは俺の女だ…お前ら手…出すなよ」
横一列に並んだクルー達が敬礼しながら
「アイアーイ、キャプテーン…!!」と叫ぶ声が海に木霊した
「キャプテンこの島に彼女いたんだね」
「んなわけあるか!!」












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!