あれから私は彼の言いなりだった
そして、彼の作戦は簡単だった
彼の知人と密かに会い浮気をする、ただそれだけ
でも、ただ会うにしても綿密な計画が立てられていた
1ヶ月はこうして、その後はこうして…とか
彼の計画では3ヶ月で私を天使界に帰すように予定を組んでいるらしい
つまり、グクといられるのはもう3ヶ月もない
何より作戦が予定より上手くいけばその分早く天使界に帰される
刻一刻と迫るタイムリミットを感じながらも何も出来ず、彼の言いなりになっていた
こちらをジッと見つめては何も言わないグク
グクは勘が鋭いからすぐ違和感に気付く
もっと…明るく振る舞わないとなのに
私の額にデコピンすれば、いつものSっ気な笑顔で2階へと行ってしまった
またぐにゃりと視界が歪むのがわかった
グクがいつもであればあるほど…苦しくなる
私は今、グクにとてもじゃないけど触れられないから
見知らぬ男と手を繋いで、ハグをして……
醜く汚い浮気、をしてるのに……
私を一途に想ってくれるグクに触れられるはずがない
でも…デコピンでも触れられて嬉しいと思ってしまう
もっと、もっと…触れてほしいと思ってしまう
ダメなのに…そんなこと言う権利ないのに……
グクを見ると辛くて辛くてどうしようもない
後何回グクの笑顔を見れるんだろうって
後1ヶ月したら…次第に険悪ムードになる
それまでの1ヶ月で…後何度グクの笑顔を見れるだろうか
後何度…私に笑いかけてくれるだろうか
愛する人に突き放される痛みを知ってるのに…
また、また同じ痛みを味わうなんて…
耐えられない、もう味わいたくもないのに……
今は声を殺して泣くことしかできなかった
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!