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第113話

After story 3
420
2024/06/02 14:33





あなたちゃんの授業は


一度も寝なかった。


眠いとすら感じなかった


かといって授業を聞いていた。と言うわけでもない


ただただ、


あなたちゃんを見ながら


綺麗だな、とか


可愛いな、とか


そんなくだらないことを考えていれば


自然と授業が終わっていた


そんなんだから、個人面談の時にも問い詰められた



「なんで目も逸らさないほど真剣に授業聞いててこの点数なの?」

北斗「おかしいですね」

「私のセリフだよ」

北斗「ごめんなさい」

「あんなにしっかり聞いてこれって、私の授業どこかわかりにくいとこある?」

北斗「ないです。あなたちゃんは全部完璧です」

「なら、なんでこんな結果が出てるの」

北斗「次からはしっかりやります」



そんなことをテスト後


あなたちゃんに問い詰められるたびに


言っていた気がする



「自分からこんなこと言うのもおかしいけどさ」

北斗「はい」

「私のことばっか見て、授業集中できない。とかやめてくれる?」

北斗「やめたくてやめれたらとっくに辞めてます」



当たり前のことだ


俺だって低い点を取りたいわけじゃない


でも、あれこれ考えてるうちに


授業が終わってる


きっとあなたちゃんの授業だけ


時空が歪んですごいスピードで過ぎているんだ


それ以外考えられない


だから、やめるやめないとかじゃない



「バカにしてるの?」

北斗「してないです」

「じゃあ」

北斗「大袈裟に言えば、いや、大袈裟に言わなくても、俺は学校にあなたちゃんとの時間を過ごす為に来てます。あなたちゃんがこの学校にいなければ多分これほど真面目に学校生活を送ってないです」

「北斗くん、?」

北斗「迷惑かもしれないけど、もう今更変えられないんです」

「待って、いっかい、」

北斗「視界に入ったら目で追っちゃうことも、話せたら嬉しくて一生この時間が続けばいいって思うのも、もう自分から切り捨てられないくらい、それくらい、もう、俺の一部なんです」



あなたちゃんのこの顔が


どうゆう気持ちなのか


俺にはわからなかったけど


こんな俺を気持ち悪がっているのではなかった


驚いてるような


でも、どこかで感情を押し殺してるような



北斗「俺も、やめなきゃってわかってるけど。あなたちゃんのその期待させるような仕草ひとつで、俺の努力が水の泡になってるんです」



どうまとめればいいかもわからず


がたん、と音を立てて席を立った



北斗「そうゆうことです」



そのまま教室を出た


余裕なんて頭の隅にもなかった


正解もわからなかった


でも、その根源を捨てると言う選択肢は


とうの昔から無くなっていたから


あの時の俺はあんなにも


戸惑い回っていたんだと思う


そう、今だからわかることだ


大人になった。と言えるであろう


今だから








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