第12話

距離が縮まる水族館②
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2025/08/08 00:00 更新





水族館に着いた瞬間、私はテンションが上がっていた。


大きな水槽に、色とりどりの魚たち。


クラゲの展示コーナーに、ペンギンのショー。



「わ、見てあれ!かわいすぎ……!」



目をきらきらさせてはしゃぐ私を、


少し後ろから見ていたふたり。



玲「……あなたの下の名前、マジで楽しそうだな」



永玖「……なあ」



玲「ん?」



永玖「今日のあなたの下の名前、ちょっと……かわいすぎね?」



玲「……永玖も思った?」



2人はお互いに目を合わせて、思わず笑ってしまう。




そのあと、水族館の中を進んでいくうちに、


ちょっとした事件が起きた。



「──え、永玖どこ行った!?」



玲「あっちのクラゲコーナー行きたいって言ってなかったっけ?」



「言ってたかも……てか置いてかれてない?」



玲「はは、たぶん逆。迷子になったの、永玖のほうじゃね?」



「うわ、ありそう……」



そんな会話をしながら、自然と私と玲、


ふたりだけが並んで歩くことになった。


しばらくして──



玲「……なんか、久しぶりだな。と2人きりで話すの」



玲がぽつりと呟く。



「……うん。なんか、変な感じ」



玲「でも、嫌じゃないでしょ?」



「え、なにそれ……ずるいこと言う」



そう言いながら、私は笑った。


だけど──


ほんの少しだけ、鼓動が速くなってる気がした。



玲「……あなたの下の名前ってさ、小学生の頃から変わってねぇよな」



玲がふと、懐かしそうに言う。



「どういう意味?」



玲「魚とか見て、めっちゃ目きらきらさせてさ。
“わぁ〜!”ってテンション上がって……。昔、遠足で水族館来たときも、ずっとそんな感じだった」



「それ……言わないでよ、はずかしい」



玲「でも、そういうとこ──俺、好きだよ」



玲の目が、私をまっすぐに見つめていた。


ふいに、心臓がどくんと跳ねた。



「……やっぱずるい、それ」



玲「ずるいって言っても、ほんとのことだから」



ふいに視線を外して、


照れ隠しのように水槽を覗き込む玲の横顔。


その距離が、いつもより近くて──


ほんの少し、空気が変わった気がした。


クラゲの展示スペースを一通り見終えたあと、


私たちは出入り口のベンチでひと休みしていた。

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