あなたside
あれは私が2歳の時、
お母さんのお腹には、
すでに私の妹になる子がいた。
だけど…
『まぁまぁ~!』
母「あなた!危ないっ!」
そう言って、私がちゃんと状況を理解した時には
もう遅かったんだ。
お母さんはそのまま帰らぬ人となってしまった。
その日から、私にいつも優しかった父も豹変した。
私は毎日殴られ蹴られて、
逃げる先はあの子たちを助けた公園。
当時は実家も近かったからね。
そこでは必ず家族がいて、
姉妹の姿を見ると悔しくて、苦しくて、、。
私は公園をきらっていた。
高校生になった時、父も他界して、
一人暮らしになった時、
別の街に変えようかも考えたけど。
なんか嫌で、ちょっとだけ離れた物件を選んだ。
小さな子どもを嫌っていた私が、
なぜあの子たちを助けたのが
未だに不思議だなぁ。
でも、やっぱり育てたい。
そんな心が私にはあった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!