第9話

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2025/11/27 09:38 更新


少し前に潰された殺連支部近くで、
椿冴は紫色の血の海の中心で立ち尽くしていた。



彼の横顔は笑いながらも寂しそうな顔をしていた。

久喜椿冴
久喜椿冴
はぁ……


そうため息をつく彼の前に、
大柄の男、ORDERの豹が現れた。


豹
おい、何してんだ?
久喜椿冴
久喜椿冴
……ん?
久喜椿冴
久喜椿冴
でっかい人だ〜、どっかで見たことある気がするけど……


椿冴は少し考えるような仕草をしたあと、嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。

久喜椿冴
久喜椿冴
………あっ!ORDERだぁ!!
柊の資料で見た顔!ふふっ、やった〜♪
久喜椿冴
久喜椿冴
強そうだね♪パワー系かな?
豹
……チッ、まだガキじゃねぇか。
豹
一丁前に“殺し”なんてしてんじゃねぇよ。
久喜椿冴
久喜椿冴
……は、?ガキじゃないよ。
馬鹿にしないでくれる?

「ガキ」

その言葉に、椿冴はさっきまで楽しそうに
ニコニコさせていた顔を、不機嫌そうに歪めた。

足元に毒が発生し、床が少し溶けている。 

久喜椿冴
久喜椿冴
もしかして、子供だからちょっと
殺りづらいとか?
久喜椿冴
久喜椿冴
あははっ(笑
ORDERは意外と優しいぬるいんだなぁ。
久喜椿冴
久喜椿冴
いや、“ORDER”っていうより、“君”か…。
豹
…あ゙?
久喜椿冴
久喜椿冴
そんなんだから、大事な支部を簡単に破壊されちゃうんだよ?
久喜椿冴
久喜椿冴
僕は人を殺した。
あの支部の人間も僕が殺したんだ。

不敵に笑う椿冴。

それに対し、仏頂面で額に青筋を浮かべながら
豹は問いかけた。
豹
あれをお前一人でか?
久喜椿冴
久喜椿冴
そうだよ?
久喜椿冴
久喜椿冴
みーんな、泣き叫びながら、苦しみながら、死んでいった。

椿冴は答えた。
さも当たり前かのように、何食わぬ顔で。
久喜椿冴
久喜椿冴
「助けて」って言ってた人もいたなぁ。
豹
っ…お前!!




久喜椿冴
久喜椿冴
…僕らのことなんて、
助けてくれなかったくせに。
豹
……

椿冴の瞳の奥には、僅かな哀しみがあった。

目を伏せがちにして話す彼の姿は、
豹には泣いている子供のように見えて仕方がなかった。

久喜椿冴
久喜椿冴
…まぁ、今日はまだ殺る気はないんだ。
ちょっと、様子見のつもりだったからね。

椿冴はそう言って無邪気に笑った
久喜椿冴
久喜椿冴
僕以外の他のメンバーも、多分君のお仲間に会ってる頃だと思うなぁ……ふふっ(笑
豹
…チッ
久喜椿冴
久喜椿冴
でも、皆も僕と同じで殺る気はないから
安心してね?
久喜椿冴
久喜椿冴
君のお仲間はまだ・・無事だよ。




久喜椿冴
久喜椿冴
またね。ORDER

椿冴はヒラリと手を振って姿を消した。


その場所には微かにツンとした、でも何故か甘い匂いが
残っていた。




豹
……

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