合宿最終日。体育館に響いていたボールの音も止み、外には帰路につく各校のバスが並んでいた。
音駒のバスの出発準備が進む中、黒尾くんがひょいと私の隣にやってくる。
「いやー、今回の合宿も濃かったねぇ。あなたちゃん、お疲れ様」
そう言って、わざと私の髪をくしゃりと撫でる。
昨日の夜、黒尾くんがどこか思い詰めたような顔をしていたのを私は見かけていた。だけど、今の彼からはその影がすっかり消えている。秋くんとの試合を経て、何か決定的な変化があったのだろうか。
私の隣で、秋くんが背後から「……おい、あんま馴れ馴れしくすんな」と殺気立った声を出すけれど、今の黒尾くんはどこか清々しい余裕の表情だ。
昨日のあの繊細で、どこか無理をしていたような表情はもうどこにもない。
吹っ切れたような、今の黒尾くんの笑顔を見て、私は「何か良いことがあったのかな」と、なぜか自分のことのように胸をなでおろしていた。
黒尾くんは秋くんの威嚇もどこ吹く風で、私に真っ直ぐ視線を合わせる。
「あなたちゃん、また会おうな。次はちゃんと、木葉より先に名前呼んでもらうからさ」
「……っ、ふざけんな! お前、マジで殴るぞ」
秋くんが間に入って黒尾くんを睨みつける。その必死な様子に、黒尾くんはニヤリと楽しそうに笑うだけだ。
(二人とも、相変わらずだな……)
そんな二人のやり取りを見ながら、私は不思議な感覚を覚えていた。
表面的にはバチバチに火花を散らしているけれど、その根底には、私には言葉にできない何かがあるような気がする。
二人の間にあるその空気感は、もしかすると合宿期間中に二人だけで共有した、私には知らされていない「何か」があるのかもしれない。
悩んでいた黒尾くんの背中を、秋くんが何か言葉で押したのか……それとも、ただの男同士のぶつかり合いだったのか。
二人の間に流れる、言葉にはできない確かな絆。それをなんとなく雰囲気で感じ取って、私は少しだけ胸が温かくなるのを感じた。
「……行くぞー、黒尾」
チームメイトに呼ばれ、黒尾くんがバスへ向かって歩き出す。
彼は去り際、振り返って秋くんに向かって小さく頷いた。
秋くんも、不機嫌そうな顔をしながら、最後は小さく首を縦に振る。
バスが動き出し、黒尾くんが窓からこちらを見て手を振る。
私は秋くんの隣で、そのバスが見えなくなるまで手を振り返した。
「……アイツ、本当に諦め悪いな」
秋くんが溜息をつきつつも、私の肩に腕を回してくる。
その手からは、私を離さないという強い意志が伝わってきた。
「……帰ったらさ、二人でどっか寄って帰ろうぜ。……あなたを独り占めしたいから」
秋くんのその少し照れくさそうな言葉に、私は彼を見上げて微笑んだ。
体育館の熱気は冷めていくけれど、私たちの関係は、ここからまた新しく動き出していく。
校庭に広がる夕焼けを見上げながら、私はこの合宿で得た、言葉にはできない二人の絆の温かさを、しっかりと胸に刻んでいた。
黒尾くんの描写も無事に書けたということで、ほんとのほんとにここで完結にいたします。
全78話?何話か違うのも混ざっておりますが、
ここまで読んでくださり本当にありがとうございます!
初めてのハイキューの夢小説でこんなに書けるとは思ってなかったです、、やっぱり木葉は偉大だなぁ。
ハイキューの大人編の予習が終わったらまた、大人編を書こう‼︎…と意気込んでおりますので、しばらくお待ちください…うん、、多分時間かかる…。
そして、まだ非公開にはしてますが、
「銀幕のヒーロー、隣の席の食いしん坊」
というタイトルの小説を自分で楽しみながら書いております。
これも、公開できるくらいにまとまったら、公開しようかな…?
一つの作品が、しっかり完結まで書けたことに誇りをもちながら…もっといい作品を書いていこう…と思っておりますので、、ぜひこれからも応援していただけたら嬉しいです。
ほんとうに、ありがとうございました!












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!