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第6話

みつドラ編 前編
1,374
2022/05/03 21:45
三ツ谷隆×龍宮寺堅

花吐き病

ドラケンが女々しい

三ツ谷あんまり出てこない

嘔吐表現あり

OK?
side 龍宮寺
いつからだったか。花を吐きはじめたのは。
嘔吐中枢花被性疾患_通称『花吐き病』は、強い片思いを拗らせると発病。名前通り花を吐く。そして、吐き出された花に触れると感染して、触ったヤツも花吐き病を患う。
治療法は、好きなヤツに告白して、YESの返事を貰うこと。両思いになれば、白銀の百合を吐く。それで完治。

もし告白の返事がNOだったら…完治せず、最悪の場合、死に至る。
恋をしていることは自覚していた。けど、まさかこんな病を患うとは、思わなかった。
オレが好意を寄せているのは、同じ東京卍會所属で、弍番隊隊長の、三ツ谷隆。

いつから、とかは覚えてない。気付いたら、好きになっていた。
けど、男が男を好きになるのは可笑しいから…。だから、この感情を消そうとした。

けど、出来なかった。消そうとすればするほど、感情がデカくなっていったから。
だから、隠すことにした。三ツ谷にも、周りにも。


その結果がこれだ。片思いを拗らせて、花吐き病を患った。

また、見せたくもバレたくもないものが増えた。

こんなオレを見たら、三ツ谷にも、他のヤツらにも、幻滅される。_それは嫌だ。




…あぁ、こんな女々しいオレなんか、嫌いだ。
今日も今日とて、花を吐く。

胃の辺りがグルグルして、気持ち悪い。

発病してからほぼ毎日のように花を吐いているが、この感覚に未だ慣れない。
龍宮寺 堅
…っふ、ぅ…っぇ、…っけほ…っ
口から花弁を吐き出す。そして、吐き出した花弁の、花の名前を調べる。
それが、ここ最近の日課。

確か、一昨日は赤のガーベラ。昨日はサボテン。

花言葉は

ガーベラ:愛情
サボテン:枯れない愛

らしい。

今日は…オキナグサ。花言葉は『告げられぬ恋』。

_心の内を見透かされているようで、苦しくなる。
苦しくて、辛くて、視界に入れたくなくて、素早く袋に入れて、口を結んでから、ゴミ箱に捨てる。
_温い液体が、頬を伝う。

…あぁ、泣いてるのか、オレは…。

何故だろう。花吐き病を発病してから、精神的に不安定だ。_いや、精神が不安定というより、感情を制御出来ていないと言う方が正しい。

理由は、分からない。気付いたら何故か泣いてるということが増えた。
いつもより感情が大きくなって、少しの事でキレそうになったり、泣きそうになる。

一度、集会後に幹部メンバーの数人と話している時に、理由もなく涙を流していた時があった。その時は何とか誤魔化したけど、それからは、外では無理矢理感情を抑えることにした。その反動のせいか、体調を崩すこともあった。けど『オレは東卍の副総長だから』『オレならまだ頑張れる』なんて言い聞かせて、必死に耐えていた。
だから、なんだろうか。

最近は、上手く笑えているのかも分からない。

無理しすぎたのかもしれない。けど、隠すためにはこうしないとだから…。

多分、勘の良いヤツは、もう気付いてるだろうな。

実際、正道マサウェイさんにも、店の嬢にも『何かあったか?』って聞かれた。

けど、オレは『何でもねぇ』って答えた。
もしこの時に話していれば、少しでも楽になれたはずなのに、オレは馬鹿かよ…。

もう、感情を抑えるのも、限界に近い。


早く、こんなに苦しいことから解放されたい。
早く、三ツ谷に、この感情に気付いてもらいたい。

なんて、自分から伝えねぇと気付いてもらえねぇのに。
龍宮寺 堅
…っふ、ぅう…、ふー、はぁ…っぅ…
ベッドの上で横になって、丸くなる。
こんな苦しい思いをしたのは、初めてだ。
だから、どうすればいいのか、分からない。
思いを伝えないと、苦しいまま。
そんなことは分かってる。
でも、伝えて嫌われてしまうのも怖い。
とりあえず、今日はもう寝て、気持ちを落ち着けようなんて思って、目を閉じた。
『男ガ男を好きニなるナンテ、気持ちワリィ』
そんな声が聞こえて、ハッと目を覚ます。

目の前は一面、暗闇。

その中に見える、金の『初代東京卍會』の文字。

東卍の、特服。

その次に見えた、ピンクゴールドと、白に近いグレーの髪色。
他にも、沢山の色。

自分も、いつもの特服を見に纏っていて、いつもの辮髪の状態だ。
龍宮寺 堅
…っは?
『花ヲ吐くナンて、キモちわリィ』

『同性愛?ナニそレウケる』

『ソんなヤツ、要らナイんダケど』

『キエロ』

『キモチワリィ』
そんな沢山の言葉が矢となって、心に突き刺さる。

やっぱり、オレが可笑しいんだ。

やっぱり、嫌われる。幻滅される。

汚れたものを見るような目が、オレを見つめる。
三ツ谷 隆 ?
ドラケン
三ツ谷に、オレの愛称を呼ばれる。
龍宮寺 堅
…み、つや…?
三ツ谷 隆 ?
ゴメンな、オマエみたいなヤツとは、付き合えねぇ
三ツ谷の言葉に、心臓が痛いほど跳ねる。

三ツ谷に、拒絶された。

その事実が、酷く辛く、苦しい。

心臓がドクドクと煩い。

頭がズキズキと痛む。

呼吸が、苦しい。
三ツ谷 隆 ?
じゃぁな、ドラケン
三ツ谷が、離れていく。
龍宮寺 堅
(…嫌だ、待って…まって、いかないで三ツ谷…っ)
そう言って引き止めたいのに、声が出ない。
龍宮寺 堅
(なんで…っ、なんで出ないんだよ…っ!出ろよ…っ)
そう願うも、声は出ない。

出ないまま、三ツ谷は視界から消えた。
龍宮寺 堅
……あ、ぁ…
声が出たと思った時には、もう遅かった。

呼吸が狂う。

まるで溺れているかのように、息が出来ない。









そのまま、意識は沈んでいった。





続く
皆さん、お久しぶりです。
作者のSAKです。
いつも作品を読んでくださり、ありがとうございます。
いつも、物語の更新が遅くなってしまい、申し訳ありません。
学校が始まり、課題等もこなさないといけないため、物語を書く時間が短く、中々更新出来ないのが、今の私の現状です。
どうか、気長に待っていただけると幸いです。

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