ふたりの唇が、静かに重なった。
それは音もなく、でも確かに“何か”を越える合図だった。
北斗が、触れるような声で名前を呼ぶ。
その瞬間、慎太郎のまぶたが震えて、再び唇が重なった。
今度は、最初よりも長く。深く。
照れ隠しみたいに、北斗は慎太郎の頬に軽くキスを落とす。
そして、そのまま指先がシャツの裾に触れた。
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布団の上。
ふたり、横並びに座っていたはずなのに、いつの間にか慎太郎は北斗に背を預けていて。
北斗の手が慎太郎の腰に回り、シャツの隙間から素肌に触れる。
その指先が、熱を持ってじんわりと這う。
慎太郎が少し震えた声を漏らすと、北斗の動きがぴたりと止まる。
その声が、決定的だった。
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夜がゆっくりと更けていく中で、
ふたりは、これまで何年も言葉にできなかった想いを、肌と肌の温度で確かめ合った。
何度も、キスを繰り返す。
唇だけじゃなく、首筋、胸元、肩口……
ふたりの境界線は、もうどこにもなかった。
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翌朝。
シーツの中で、慎太郎がまだ眠そうな顔をしている。
そう言いながらも、北斗の手はそっと慎太郎の髪を撫でていた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。