第116話

世界で1番
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2022/04/13 04:46 更新
扉を開けると、大きな出窓の前にあなたが立っていた。

外を見ていたのか、振り返ったときの表情がなんとも綺麗だと思った。

まるで絵画を切り取ったような光景に思わず息を飲んだ。

その光景に言葉が詰まってしまって、「綺麗だ」と声を掛けたいのに何も発することが出来なかった。


ふんわりとしたシフォンに、細かい装飾が施されたレースがより一層あなたの美しさを際立たせていた。
髪は綺麗にまとめあげられ、細い首から美しいうなじが見えていた。
耳にはキラキラと輝くピアスが着けられ、あなたが振り返った反動で前後左右にユラユラと揺れて、太陽からの光を反射していた。
(なまえ)
あなた
わかゔぁ君…?
わかゔぁ
わかゔぁ
あ…え、ああ…。
あなたが不安そうな顔で見つめてきた。

何か声を掛けなきゃと思えば思うほど動揺してしまって言葉が出てこなかった。
(なまえ)
あなた
…大丈夫?
わかゔぁ
わかゔぁ
う、うん。


えっと…びっくりして…。
(なまえ)
あなた
びっくり…?

私なんもしてへんよ?
わかゔぁ
わかゔぁ
あ、いや…その、あまりにも綺麗すぎて、なんて言ったらいいか…。
(なまえ)
あなた
ふふっ。

わかゔぁ君、扉開けた瞬間固まってたで?

なーに?見蕩れちゃったん?
あなたは近づいてきて、下から顔をのぞき込んで来た。


顔が一気に熱くなるのを感じて、あまり見て欲しく無いと思った。
わかゔぁ
わかゔぁ
……。
(なまえ)
あなた
なんか言ってや?

心配になるやろ?
わかゔぁ
わかゔぁ
あなた…。

その…凄く綺麗やで。
誰にも…見せたくない。
(なまえ)
あなた
へへっ!

ありがっ…ちょ、ちょっと!
あなたが言い切る前に腰をグッと引き寄せ、優しく抱きしめた。

誰にも見て欲しくない。



そんな欲望が腹の中で疼き出す。



俺だけのあなた。




けれど、そんなことを言ってられないのは分かりきっていて、これから撮影で沢山の人に見られるのだ。
更にはネットで全世界にCMとして配信されてしまう。

ここにきて、邪な感情が一気に溢れ出した。
わかゔぁ
わかゔぁ
チューしたい。
(なまえ)
あなた
だーめ。

口紅ついちゃう。
おうちまで我慢してくださいな。
わかゔぁ
わかゔぁ
無理。
直してもらって。
(なまえ)
あなた
直してもらうのはいいとしても、……カメラ回ってますよ?
あなたが指さした方向をよく見ると、小さなカメラのレンズと目が合った。
わかゔぁ
わかゔぁ
まじか…。
(なまえ)
あなた
めちゃめちゃいい顔撮れたで?

カップルチャンネル上げなかったとしても、永久保存版で繰り返し観たいなぁ。
わかゔぁ
わかゔぁ
うわぁ、やられた!

俺すんごい顔してたと思うし。
(なまえ)
あなた
ウエディングドレスを初めて見た反応を撮りたかってんけど、予想を上回る反応やったからびっくりしちゃった。

改めて、わかゔぁ君に愛されてるんやなぁって再確認。
わかゔぁ
わかゔぁ
当たり前やろ?

こんな事普段よー言わんけど、この機会やから言うわ。

1度しか言わへんから、よーく聞いてな?
(なまえ)
あなた
え、何?
あなたの耳元に口を近付け、ボソッとあなただけに聞こえるように愛の言葉を投げかけた。
















世界で1番愛してる。
ずっと俺の傍におってな。

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