扉を開けると、大きな出窓の前にあなたが立っていた。
外を見ていたのか、振り返ったときの表情がなんとも綺麗だと思った。
まるで絵画を切り取ったような光景に思わず息を飲んだ。
その光景に言葉が詰まってしまって、「綺麗だ」と声を掛けたいのに何も発することが出来なかった。
ふんわりとしたシフォンに、細かい装飾が施されたレースがより一層あなたの美しさを際立たせていた。
髪は綺麗にまとめあげられ、細い首から美しいうなじが見えていた。
耳にはキラキラと輝くピアスが着けられ、あなたが振り返った反動で前後左右にユラユラと揺れて、太陽からの光を反射していた。
あなたが不安そうな顔で見つめてきた。
何か声を掛けなきゃと思えば思うほど動揺してしまって言葉が出てこなかった。
あなたは近づいてきて、下から顔をのぞき込んで来た。
顔が一気に熱くなるのを感じて、あまり見て欲しく無いと思った。
あなたが言い切る前に腰をグッと引き寄せ、優しく抱きしめた。
誰にも見て欲しくない。
そんな欲望が腹の中で疼き出す。
俺だけのあなた。
けれど、そんなことを言ってられないのは分かりきっていて、これから撮影で沢山の人に見られるのだ。
更にはネットで全世界にCMとして配信されてしまう。
ここにきて、邪な感情が一気に溢れ出した。
あなたが指さした方向をよく見ると、小さなカメラのレンズと目が合った。
あなたの耳元に口を近付け、ボソッとあなただけに聞こえるように愛の言葉を投げかけた。
世界で1番愛してる。
ずっと俺の傍におってな。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。