俗に言う"ヒーロー"である彼らにとって、
あなたがヒーローの存在を否定していることは最も大きな問題だった。
中でも、疲れ切った顔で朝食も摂らず出ていったあなたを心配そうに見ていたある一人は、
仲間たちがどう自身の存在を認めさせるか議論している中でもずっと上の空だった。
あの自嘲気味な呟きがどうにも頭から離れず、思わずため息がもれた。
赤城の言葉に、西の四人も揃って頷く。
こちらの世界では戸籍もお金も持たない自分たちは、あなたに頼って生きる他ない。
あなたに拒絶されこの家を追い出されてしまえば、
勝手も知らぬこちら側の世界では、たとえヒーローであろうと生きることは難しい。
とにかくまずはあなたに自分たちを認めてもらうこと。
それが彼らにとって最初のノルマであった。
誰もいないはずの家の扉を開けると、二人の男が僕を出迎えた。
切れていた照明も付け替えられて、玄関からリビングへと続く廊下も明るくなっている。
奥から聞こえる複数人の声に、僕は思わず身構えた。
後ろから別の男に肩にかけていた鞄をひったくられる。
それから音もなくいなくなったと思ったら、上の階から扉の音が聞こえた。
階段を駆け上がって追いかけるも、登りきった時には既に男は部屋から出てきて、
息を切らす僕に満足そうに少しだけ口角を上げた。
またも背後から現れた小柄な男に手を取られ、引っ張られるようにしてリビングへ向かう。
その途中、声の低い方の男に手を洗うよう促されると小柄な男は若干不貞腐れたが、
僕の名前を出されるとまるで僕に見せつけるかのようにしっかりと手を洗った。
リビングにはあの大きな机にたくさんの皿がずらりと並び、
部屋の中はいつにも増して明るかった。
テレビ前のテーブルの上には、机の上に置きっぱなしにしていた書類やノートが積み上げられている。
その一番上には見覚えのない古びた青いノートが置かれていた。




















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。