温泉旅行から数日。
久しぶりのオフが終わり、仁人くんは朝から仕事へ向かった。
「行ってきます。」
「行ってらっしゃい!」
玄関で手を振ると、
「今日ちょっと長くなる。」
「うん。」
「帰ったら連絡する。」
「待ってるね。」
そう言って笑うと、仁人くんも優しく笑って家を出て行った。
その笑顔を見送りながら、私は自分も仕事へ向かった。
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M!LKの楽屋。
リハーサル前。
メンバーが思い思いに準備をしている中、仁人はスマホで時間を確認する。
その瞬間だった。
「あ。」
勇斗がにやっと笑う。
「仁人。」
「ん?」
「待ち受け変わってるじゃん。」
その一言に、近くにいた舜太も覗き込む。
「あ、ほんまや。」
「……。」
仁人は慌ててスマホを伏せた。
「見るな。」
「いやいやいや!」
柔太朗がすかさず横からスマホを奪う。
「ちょ、柔太朗!」
「えーっと……」
画面を見た柔太朗が固まる。
そして次の瞬間。
「うわぁぁぁぁ!!」
楽屋中に響く声。
「何?」
太智まで集まってくる。
「見てこれ!」
そこに映っていたのは。
旅行先で浴衣を着て笑うあなた。
少し照れながら笑っている、あの日撮った一枚だった。
「じんちゃん。」
舜太が肩を震わせる。
「待ち受け彼女やん。」
「当たり前でしょ。」
仁人は照れながら答える。
「いや、当たり前なんやけど!」
舜太が爆笑する。
「旅行の時の?」
「……うん。」
「めっちゃかわいく撮れてるやん。」
仁人は少しだけ口角を上げる。
「だろ。」
「自慢か(笑)」
太智まで笑い出した。
「もう完全に彼氏やん。」
「前から。」
「いや、前よりひどい。」
勇斗が肩を叩く。
「こんなデレデレの仁人見たことない。」
「うるさい。」
「でも。」
舜太がスマホをもう一度見る。
「これあなたちゃん知ってるん?」
「いや。」
仁人は少しだけ悪戯っぽく笑う。
「内緒。」
「えぇー!」
柔太朗が目を輝かせる。
「じゃあ俺教えよ。」
「やめろ。」
「えー。」
「絶対怒られる。」
「怒るかなぁ。」
そう言いながら柔太朗はスマホを取り出した。
「送っちゃお。」
「柔太朗!」











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!