春。
別れの季節と呼ばれるように、
私は先月中学校を卒業した。
仲の良い友達とは学校が離れてしまい、
少し寂しい気持ちもあるが、
それと同時に出会いの季節でもある。
新しい制服を身にまとい、
汚れ一つないローファーを履いた足で
学校までの慣れない道を歩く。
今年は桜の開花が例年よりも早く、
学校までの道に植えられている桜の木は
既に満開を迎えている。
昨日は入学式が行われ、
今日からは普通に学校に通う。
入学式の次の日からすぐに学校ってなんだよ、
1日くらい休みあってもいいじゃん、
と内心思いながらも、
新しく始まる学校生活にわくわくしているのも事実で、
そんな気持ちを抱えながら正門をくぐった。
ざわざわとした教室に入り、
昨日と同じように名前順で決められた席に向かう。
隣の席の女の子にそう話しかける。
昨日の入学式後のHR中に話しかけて仲良くなった。
清楚系の見た目で優しくてノリのいい子だ。
あわよくば席替えとか、なんて考える。
名前順の席順が1番面白くないよ、まじで。
この子と席が離れてしまうのは少し残念だが、
この子以外周りが全員男子だから
もう少し女子がいる席にしてほしい。
周りの男女比率おかしいよ、今の席。
担任がくじ引き用の箱を手に持ち、
「引きにこーい」と、声を出す。
そう、私が待ち望んでいた席替えだ。
あの箱の中には人数分の紙が入っていて、
くじ引きで席を決めるというやり方らしい。
ちなみに私達の担任は男の先生だった。
40後半らしいが、結構薄い。
何がとは言わないが、薄い。
彼がどんなに真面目な話をしていても
頭頂部にしか目がいかない。
…不可抗力だよね。しょうがないしょうがない。
ほとんどの人がくじを引き終わり、
残るは私たちと他数人になってきた為、そう言う。
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信じられなくて、
もう一度自分の紙に書かれた番号と
黒板に書かれている座席表を見返す。
そう言いながら私の紙を覗き込んでくる。
彼女はというと、廊下側の1番前だったらしい。
最大限真逆にした位置関係だよね。
「私授業中寝るから最前列で勉強頑張ってね」と
冗談半分で煽ったら、
「今度の席替えはあなたの下の名前ちゃんが最前列ど真ん中に
なるように先生に頼んでおくね!」
と、煽り返された。
まじでこの子ノリ良くて好き。
「休み時間なったらまた話そ」と約束をし、
新しい自分の席へと向かった。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。