日本の都内には、地図に載らない戦場がある。
銃声も悲鳴も、誰にも聞かれない場所。
国が黙認し、時に依頼すらする暗殺組織——
Bloody Angel。
その名にふさわしく、罪を血で洗い流す集団だ。
そして、その中で最も異質な存在が、
ナンバー2——白雪 姫だった。
白髪のツインテールを揺らし、白い服に白い戦闘服。
黒い瞳は澄んでいて、どこまでも無垢そうで。
「あの子、ほんとに殺し屋なの?」
そんな噂が、裏社会では定番になっている。
実際、仕事終わりの白雪姫は、血の気配よりも
花屋や雑貨屋に寄り道していることの方が多かった。
独り言をこぼしながら、ショーウィンドウに顔を近づける。
さっきまで“救済”を終えてきたとは、誰も思わない。
——過ちを犯し、苦しみ続ける者を地に返す。
それが、白雪 姫の考える“救い”だった。
その日も、仕事帰りだった。
路地を抜け、人通りの少ない通りに出た瞬間。
どんっと肩がぶつかる
言いかけて、姫は相手を見上げた。
黒いコート。鋭い目つき。
なのに——
どう見ても自分とそう変わらない年齢
低く舌打ちした男は、一瞬で周囲を確認した。
その動きだけで、一般人じゃないとわかる。
姫は内心でぱっと花が咲いたように笑う。
天真爛漫な声に、男——黒雲月斗は、完全に思考が止まった。
白い髪。白い服。
路地裏には似合わない、天使みたいな少女。
——殺すか。
反射的にそう思ったのに。
次の瞬間、月斗は自分が彼女から目を離せなくなっていることに気づいた。
ぶっきらぼうに言い放ち、立ち去ろうとする
袖を掴まれた。
月斗の心臓が、一拍遅れる。
当たっている
月斗は完全に調子を狂わされていた
気づけば名刺を渡していた
姫は満面の笑みで名刺を受け取った。
それだけ言って、くるっと背を向けて走り去る。
月斗は、しばらくその背中を見つめていた。
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あとがき
第一話楽しんでいただけましたでしょうか?
実はこれ当時私が小学4年生の時に考えていた話で、
成長してからこれを書かせていただきました。
これからの姫のどきどきハラハラな生活をどうぞ見てくださると幸いです。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!