…。
…泣いてる。
真が…泣いてる。
刺されたみたいに痛い…。
苦しい…。
なんだろう…?
なんなのだろうこれは…。
”さびしい”…か…。
…。
…ぎゅっ
ただ虚を見つめて涙を流す弟を、
"Sol"は両手で包みこんだ。
そして、口元を弟の肩に埋めたまま、
そっと瞳を閉じた。
弟の視線の先には相変わらず何もない。
両手に伝わる力をぎゅっと強くしながら、
言葉を返す。
” 解らないんだ ”
”「自分の感情」というものが ”
” だって自分が母を殺したとき、真は… ”
……
…
バタンッ…
……
…
” お姉ちゃんとは違う ”
それは、
” 真、貴方が優しい子だからなんだ ”
その瞬間。
ピシッ…!
"Scorpio"の視界に映るものすべてに亀裂が入り —
パリィィィンッ!!
— 粉々に砕け散った。
"Sol"はそっと両手を離すと
自分を見つめる弟を見つめ返して、
柔らかい声音でそう言った。
少し離れたところから、ふたりを見守る姿があった。
もう一人、ふたりを見守る、
いや、呆然と見ている姿が。
"Lyra"は頭を抱えながら発狂した。
すると、それに応えるように…
♪~ギィィィンンンッッ!
耳を劈くような異音が大音量で流れ始めた。
声のする方を向くと、そこには"Leo"が立っていた。
腕には鬼龍葵の姉が抱えられている。
そうしている間にも、地下倉庫だった背景は、
出口のない密室、南国の砂浜、スクランブル交差点の中心、ビルの屋上、人気のない樹海…
目まぐるしく変わっていく。
両手に纏う黒のグローブに一瞬目を落としてから、
"Sol"は言い放った。
が、
どれだけ思案しても、
"Sol"は、弟の真剣な眼差しを否定する気にはなれなかった。
” …優しい弟だ ”
…




















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!