第8話

8話 バカgoカフェ
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2026/02/26 16:36 更新


── 物置部屋 ──




部屋に1人佇むアメリカは、何枚かの写真付き資料を手にとって眺めていた。付いている写真にはひとが写っており、そのなかの一つには北朝鮮の写真があった。
アメリカ
……。
アメリカ
(…これはもう、いいか。)
アメリカは手元の資料を全部シュレッダーにかけて、対霊部署のオフィスの方に戻った。








アメリカ
──…あ。あなたの下の名前!
特殊清掃の方の問題解決はまだ少しだけかかりそうなので、今日はあなたの下の名前はここにいる。
まぁ本来、今日あなたの下の名前は休みなので、ここにいる必要はないのだが。休日だってことを忘れているんだろう。
あなた
はい。本日の業務はなんでしょう!
アメリカ
いや今日は…てかこの前の仕事!途中で非常事態あったんだろ!?大丈夫だったか!?
あなた
私とにゃぽんは無事で……あ!!!北!!
あなたの下の名前は今思い出したかのように(というか本当に今思い出したので)ぽんっと手を叩いた。
あなた
そーだよアイツ!大丈夫かな?
アメリカ
解体部署の方に応援要請がきてたらしいしな…。とりあえず無事ではなさそうだな。
アメリカ
まぁ、でも解体部署のやつ総員で現場に向かったらしいから多分大丈夫なはず。
あなた
なるほど。
あなた
よし、じゃあ本日の業務行きましょう!
アメリカ
お、おう。切り替えすごいな………。
あなた
長所は切り替えの早さです。事故物件の特殊清掃して3秒で飯食いにいけます。
イギリス
貴方人殺しても何も感じなさそうですね。
あなた
つまり仕事に有利ってことですか?
イギリス
貴方をdisった私が間違っていました、すみません。
イギリス
…というかあなたの下の名前さん。今日貴方休みですよね?
あなた
………えっ?
あなたの下の名前は急いでメモアプリを開いた。
あなた
…うわぁ、マジだ!!
日本
ふw…それ前の会社でもやってましたよね…w
あなた
懐かしいですね!とりま遊びに行ってきます。
イギリス
いってらっしゃい。
日本
…あ、そうだ。暇だったらでいいんですけど、貴方の家の近辺にある「ともしび喫茶」ってカフェ、行ってみてほしいんです。
日本
知人によると、安価なスタバみたいなやつらしくて…。私は忙しくて行けそうにないので、行った感想を聞かせてもらいたくて。
あなた
マジすか!行かせてもらいます!!暇なんで!!
あなた
あ、それじゃあお先に!
あなたの下の名前は素早く荷物をまとめてカフェに向かった。







午前5時



朝方のすずしい風が吹き付ける屋上。そこに、誰かと連絡を取る人影があった。




『──ターゲット達は始末できたか?』


???
…あー、はい。おそらく。多分。
『曖昧じゃ駄目なんだよ。仕事だからな?こっちは金払うんだぞ。』
???
(5万くらいしかくれないくせにコイツ…。)
こんな安価な依頼でも、上からの命令だから仕方なくやっている。あーもう、なんで一日中「解体部署」とかいう戦闘プロフェッショナル共相手にしてんのに安い給料なんだよ。
???
……ヘッドショットはできなかった。けど、少なくとも腹部に一発ずつは入れられたし、人目にもつかないところだから多分ほっとけば死にますよ。
多分・ ・な。全然助かる可能性はあるけど、電話の向こうのやつがムカつくので追撃はしないでおいた。
『そうか…ならいい。報酬は口座に送金しておく。』
『これからもしばしば暗殺を頼むことになりそうだ、よろしく頼むよ。フィンランド。』


通話しているのは、昨日高い建物から狙撃銃であなたの下の名前たちを……いや、解体部署のやつらを狙っていた者。

そのフィンランドと呼ばれた人物は、面倒そうな顔をして通話を切った。


フィンランド
……はぁー…。あの依頼人ダルすぎだろ……。
フィンランド
(…一仕事終わったし…。ちょっと仮眠したら、気分転換にどっかの店にでも寄るかな。)




これが、今日の早朝の出来事である。




午前10時




あなたの下の名前はGoogleマップを開いて「ともしび喫茶」を探す。
あなた
ともしび喫茶、ともしび喫茶……。
あなた
…あった!
Googleで見つけた店は家から徒歩5分くらいの場所。
本当に家の近くじゃん!!と驚きつつ、あなたの下の名前はスキップでその店に向かう。
???
すみません、この辺にカフェとかありますか?
あなたの下の名前は声の方に振り向いた。
すると、目の前の知らない男性は驚いたように目を見張る。
???
って……
フィンランド
(こいつ…解体部署のやつと一緒にいた…!!?)
あなた
…?
フィンランド
(バレたか!?いやそんなわけない、スコープ無しであの距離は顔はっきり見えるはずない…パニクりすぎだろ俺。)
内心クソ焦っていると、あなたの下の名前がはっとしたように口を開いた。
あなた
あっ!あなたもともしび喫茶行きたい人ですか!?
フィンランド
え?
あなた
安価なスタバらしいですよ!一緒に行きます!?
フィンランド
え…あぁー…
あなた
OK決まり!行きましょう!!
フィンランド
(今の返事じゃないんですけど)
フィンランドが断ろうとしている間にも、あなたの下の名前は彼の手をつかんで目的地に連れて行く。
そのうち「多分バレないからいいや」って結論に至り、2人はカフェに向かった。






━━ カフェ ともしび喫茶 ━━
フィンランド
…シャレてるなぁ。
あなた
なんで人少ないんだろ。時間帯かな。

2人は席に座ったが、呼び鈴がない。
カウンターで注文する形式じゃない、レストラン式にも関わらずだ。

あなた
店員さーん!!
少しして、店の奥から仏頂面した店員がやってきた。
…なんすか?
あなた
えぇと、チョコチップスコーンとキャラメルマキアート1つ!
あなた
あなたは?
フィンランド
あ、じゃあシナモンロールで…
はぁ……こっちが機器の用意できてないのに言われてもわかんないっつの
フィンランド
(接客態度悪いな…。)
あなた
もう1回言ったほうがいいですか?
めんどくさいなー…。言わなくていい。
フィンランド
いや、めんどくさいのはお前の方だよ。
あなた
そりゃ言えてますね。
は?……。


店員はこちらに聞こえるように大きく舌打ちをして、イライラした様子で店の奥に消えた。
あなた
…あ!そうだ、あなたは誰ですか?
フィンランド
自己紹介もしてない相手をよくカフェまで引っ張ってこれたな…。
フィンランド
フィンランド。…あっ
シンプルに本名を……。いや本名はスオミか?
まぁどちらにせよ、公共の場で使う名前を使ってしまったのはまずい。
あなた
OKそれじゃあフィンさんで!!
あなた
私はあなたです!暇だから世間話しますね!!
あなた
昨日同業者が、一瞬「死亡フラグか…?」と思うような発言してから生死不明なんですよ。どう思います?
フィンランド
うん…。多分死んでるな!
おそらくその同業者ってのは今朝狙撃したやつ。
断言しよう。死んでる!多分!!(断言できてない)
あなた
やっぱそう思います?
フィンランド
あぁ。
あなた
……死体見つけたら墓でも建ててやるかぁ。なんなら除霊までしてやろ。
フィンランド
それがいい。
※なにこの無慈悲集団。
片や暗殺者、片や(法的にも)ブラック企業の従業員。
裏社会の人間同士の会話はわりとはずんだ。


その後出てきた料理は、安価版スタバというだけあって、スタバで食べたものと同じような味だった。


「美味しかったからたまに通おう!!」と心に決めて、あなたの下の名前たちは店を出た。





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