── 物置部屋 ──
部屋に1人佇むアメリカは、何枚かの写真付き資料を手にとって眺めていた。付いている写真にはひとが写っており、そのなかの一つには北朝鮮の写真があった。
アメリカは手元の資料を全部シュレッダーにかけて、対霊部署のオフィスの方に戻った。
特殊清掃の方の問題解決はまだ少しだけかかりそうなので、今日はあなたの下の名前はここにいる。
まぁ本来、今日あなたの下の名前は休みなので、ここにいる必要はないのだが。休日だってことを忘れているんだろう。
あなたの下の名前は今思い出したかのように(というか本当に今思い出したので)ぽんっと手を叩いた。
あなたの下の名前は急いでメモアプリを開いた。
あなたの下の名前は素早く荷物をまとめてカフェに向かった。
午前5時
朝方のすずしい風が吹き付ける屋上。そこに、誰かと連絡を取る人影があった。
『──ターゲット達は始末できたか?』
『曖昧じゃ駄目なんだよ。仕事だからな?こっちは金払うんだぞ。』
こんな安価な依頼でも、上からの命令だから仕方なくやっている。あーもう、なんで一日中「解体部署」とかいう戦闘プロフェッショナル共相手にしてんのに安い給料なんだよ。
多分な。全然助かる可能性はあるけど、電話の向こうのやつがムカつくので追撃はしないでおいた。
『そうか…ならいい。報酬は口座に送金しておく。』
『これからもしばしば暗殺を頼むことになりそうだ、よろしく頼むよ。フィンランド。』
通話しているのは、昨日高い建物から狙撃銃であなたの下の名前たちを……いや、解体部署のやつらを狙っていた者。
そのフィンランドと呼ばれた人物は、面倒そうな顔をして通話を切った。
これが、今日の早朝の出来事である。
午前10時
あなたの下の名前はGoogleマップを開いて「ともしび喫茶」を探す。
Googleで見つけた店は家から徒歩5分くらいの場所。
本当に家の近くじゃん!!と驚きつつ、あなたの下の名前はスキップでその店に向かう。
あなたの下の名前は声の方に振り向いた。
すると、目の前の知らない男性は驚いたように目を見張る。
内心クソ焦っていると、あなたの下の名前がはっとしたように口を開いた。
フィンランドが断ろうとしている間にも、あなたの下の名前は彼の手をつかんで目的地に連れて行く。
そのうち「多分バレないからいいや」って結論に至り、2人はカフェに向かった。
━━ カフェ ともしび喫茶 ━━
2人は席に座ったが、呼び鈴がない。
カウンターで注文する形式じゃない、レストラン式にも関わらずだ。
少しして、店の奥から仏頂面した店員がやってきた。
店員はこちらに聞こえるように大きく舌打ちをして、イライラした様子で店の奥に消えた。
シンプルに本名を……。いや本名はスオミか?
まぁどちらにせよ、公共の場で使う名前を使ってしまったのはまずい。
おそらくその同業者ってのは今朝狙撃したやつ。
断言しよう。死んでる!多分!!(断言できてない)
※なにこの無慈悲集団。
片や暗殺者、片や(法的にも)ブラック企業の従業員。
裏社会の人間同士の会話はわりとはずんだ。
その後出てきた料理は、安価版スタバというだけあって、スタバで食べたものと同じような味だった。
「美味しかったからたまに通おう!!」と心に決めて、あなたの下の名前たちは店を出た。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!