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第55話

53話
8
2025/04/23 12:12 更新
田中 望夢
まだ彩華ダメなの?
彩華のために走っている涼夜なんて嫌いだ。

「自分のために部活を捨てた人」のために走ってる「星引の星」なんて嫌いだ。
律香
うん…。ダメみたい。
昔はきっと別の理由。でも、今は嫉妬してるんだと思う。きっと私の心、涼夜の存在が凄く凄く大きいんだろうね。
律香
まあしょうがないよね。
死にたいと思うくらい貴方でいっぱいになって、
生きていたいって思うほど貴方は私の希望なのだから。
律香
きっと涼夜は彩華にアルトで戻ってきて欲しいんだと思う。
課題曲と自由曲の楽譜持ってたし、最近アルトに過干渉だなぁって思ってたところ。
私だって1人の部員として戻ってきて欲しいよ。それを涼夜がやるから憎いんだと思う。言ってくれたら私が喜んでやるのに。
田中 望夢
それ、僕じゃダメ?
律香
ん?
田中 望夢
やー。過干渉になるのは僕でもできるのになぁーって思って! 僕だって戻ってきて欲しいし! 折角部活の体制も変えられてきた頃なんだから!
田中 望夢
あーあ僕っていっつも負けヒロイン
思いは伝わらないのになーんか努力しちゃう。
律香
え、なんで?
田中 望夢
あえて例えて言うなら僕は同性愛者で星引の男子部員がどうしようもなく好きなのに星引の男子部員はみんな彼女がいる…みたいな?
律香
理解追いつかないかも…ちょっと例え方下手じゃない?
田中 望夢
えー下手!?!? りっちゃんの理解力の問題じゃない?
田中 望夢
もーりっちゃんの分からず屋!
律香
まじかーごめんね。
田中 望夢
謝らないで。謝らせたかった訳じゃないの。
僕は涼夜が泣かせたりっちゃんを見てるの辛い。僕はりっちゃんのこと絶対泣かせないよ。
田中 望夢
あ、音楽室着いた。練習頑張ろ! 後でささーっと打ち合わせだけしよーね!
ずるい人達だ。星引の男子部員は全員そうだ。
優しいが故に、ずっと人を気にかける。気に掛けられすぎて時には心を掻き乱してくる。

日を重ねる度に私は涼夜が好きなのだと気付かされ、その都度その想いが大きくなる。

今更だけど、好きって言っていいかな。
田中 望夢
あ、りっちゃん。好きだよ。
律香
え? ちょっと待って。
どうしたの? 頭ぶつけた? なんでなんでなんで
田中 望夢
ちょ、どーよーし過ぎじゃない?
なんでなんで!?!?
田中 望夢
え、僕なんか変なこと言ったかな…
律香
え、ごめん…聞き間違えた。ごめん。忘れて
私の耳いつからおかしくなったんだろ〜と考えるが、どうしてもそうとしか聞こえない。

もしこれが本当だとしても私、のぞむんの気持ちを見て見ぬ振りをする。

自分ってとことん弱い生き物だ。
臭いものには蓋をする、面倒臭いものとは向き合わない。自分の気持ちは偽ってなんぼ。

そうやって生きてきた。
いおり
いおりのぞむんが最推し…

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