第61話

私の家
1,113
2024/05/03 13:37
あなたside




私の家族は少しおかしかった


土日に家族で出かけることもなければ


全員揃って食卓を囲むこともない


そして会話がない


静かな空間で暮らしていた





ある日のこと



あなた、本当のことを言って


悲しそうに呟いた母


まだ少し幼かった私には


状況の把握ができなかった

本当になにもないって言ってるだろ


なんとなく嫌な雰囲気が漂っていて


私はなにも考えずにその場を離れた


眠りから覚めた次の日から


静かだった家はうるさくなった

なにが不満だったわけ!?
自分だけ遊んでお金使って…子供のことも考えなさいよ!
俺が稼いだ金なんだから口出しするな
家事しかしてないくせに偉そうにするなと言ってるだろ


会話のない家も居心地は悪かった


でも喧嘩の絶えない家はもっと居心地が悪かった


数日それが続いて


ある日母が泣いていた

昔のyou
ママ、どうしたの?


母は私を見て笑った


そして


ごめんね…笑
パパはママのこと嫌いなんだって…笑
パパは他の家のパパになったんだって…笑

泣きながら


私を落ち着かせようと


丁寧に優しく教えてくれた

昔のyou
そっ…か…


そんなことしか言えなかった


ただわかったのは


父が浮気をしていた事


そして新しい家庭まで築いていた事


当時の私は少しも理解していなかっただろう




父がいなくなった家は


さらに居心地が悪くなった


私を養うため、自身の生活のため


母は働きに出た


家事やら仕事やらで忙しくなった母は


私に虐待をするようになった


あんたなんか産まなければ


何かあるごとにその台詞を吐かれた


母が日本人、父が韓国人


必然的に家の中の言語は日本語が中心となった


韓国語を喋れば


母から痛い視線を向けられた


外では韓国語を喋らざるを得ないことは


日本人の母にとっては苦痛だったのだろう


ましてや家の中までなんて




せめて手のかからない子でいよう


そう決めてから私はたくさん空気を読んだし


たくさんお手伝いもした


そしてたくさん勉強した




ただ、日が経つにつれ



日々の生活に疑問を抱き始めていた



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