手続きの話などをして社長室を後にした私は
廊下である人を見かけた
思い切って見つけた彼に声をかけてみた
喜んで伝えると
シウさんはまるで自分のことように喜んでくれた
そして会社のことをいろいろ教えてくれた
彼は今マネジャーの見習い研修みたいな立場らしい
走っていく彼を後ろから見ていた
全てにおいて無知だった私は
とにかく必死に周りについていこうとした
課されたスケジュール通りに日々を過ごして
プラスαでできることもやった
もちろん
学校の勉強だってちゃんとやっていたし
成績が著しく落ちたなんてこともなかった
ただ強いて言うなら
学年1を逃すことがあったぐらい
それは私が勉強しなかったから
ではなく
ただ私以上に頑張った子が居ただけだった
私が落ちていなかろうと
順位が落ちたことが気に食わないのだろう
母は何を言っても不機嫌だった
前の自分に負けなければいいんじゃないの?
以前までライバルと呼べるほど
頭のいい子が周りにいなかった私は
前回の自分と戦うしかなかった
それに、自分の成長が1番大事だと思っていたから
人と比べる母に嫌気がさした
母からアイドルの話が出るのは珍しかった
確かに
母の言うことは間違っていないと思った
だから何も言えなくなった
私は甘えているのだろうか
そう言って
私を置いてリビングを出て行った
忙しい練習生としての日々の中で
残りの時間の大半を勉強にあてていたのに
それなのに、まだ上を目指せと
こんなに頑張っているのに
周りは私のことをすごいと言って讃えるのに
悔しかった
それと
頑張っても届かないものがあることに
絶望した
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♡1900 ありがとうございます♪
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。