第66話

無知だから
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2024/05/31 14:46

手続きの話などをして社長室を後にした私は


廊下である人を見かけた

(なまえ)
あなた
あー、あの!
シウ
シウ
ん?


思い切って見つけた彼に声をかけてみた

シウ
シウ
あなたさんじゃん!
シウ
シウ
あれ、もしかして
(なまえ)
あなた
練習生になりました!
喜んで伝えると

シウ
シウ
うわぁ、嬉しい!


シウさんはまるで自分のことように喜んでくれた


そして会社のことをいろいろ教えてくれた

シウ
シウ
で、俺は今見習いってわけよ
(なまえ)
あなた
そうなんですね

彼は今マネジャーの見習い研修みたいな立場らしい

シウ
シウ
やば、もう行かないと
シウ
シウ
怒られちゃう笑
(なまえ)
あなた
止めちゃってすみません
シウ
シウ
大丈夫!
シウ
シウ
またね!
(なまえ)
あなた
あ、はい!

走っていく彼を後ろから見ていた



全てにおいて無知だった私は


とにかく必死に周りについていこうとした


課されたスケジュール通りに日々を過ごして


プラスαでできることもやった


もちろん


学校の勉強だってちゃんとやっていたし


成績が著しく落ちたなんてこともなかった


ただ強いて言うなら


学年1を逃すことがあったぐらい


それは私が勉強しなかったから


ではなく


ただ私以上に頑張った子が居ただけだった


また2位だったの
(なまえ)
あなた
でも私の成績だけ見たら変わりはないよ
じゃあこの順位は何?

私が落ちていなかろうと


順位が落ちたことが気に食わないのだろう


母は何を言っても不機嫌だった

(なまえ)
あなた
○○さんが頑張ったからでしょ
(なまえ)
あなた
なんで他の人と比べるの


前の自分に負けなければいいんじゃないの?


以前までライバルと呼べるほど


頭のいい子が周りにいなかった私は


前回の自分と戦うしかなかった


それに、自分の成長が1番大事だと思っていたから


人と比べる母に嫌気がさした

あなたアイドルになりたいんでしょ
(なまえ)
あなた

母からアイドルの話が出るのは珍しかった

他の子達に勝たないとデビューできないんじゃないの
他人と比べるななんて
表に立とうとする人間が何言ってるのよ
(なまえ)
あなた
それとこれとは…


確かに


母の言うことは間違っていないと思った


だから何も言えなくなった


私は甘えているのだろうか

次もまた2位とったら辞めさせるから

そう言って


私を置いてリビングを出て行った

(なまえ)
あなた


忙しい練習生としての日々の中で


残りの時間の大半を勉強にあてていたのに


それなのに、まだ上を目指せと


こんなに頑張っているのに


周りは私のことをすごいと言って讃えるのに


悔しかった


それと


頑張っても届かないものがあることに


絶望した



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