なんだろう
悲しくて
辛くて
心がギュッとした
何も言葉が出てこなくて
ただ目を泳がせて
突っ立っていた
声の聞こえた方へ目を向けると
そこにはシウオッパがいた
なんでいるの?
待って
そう言いたかったのに
私の口は動いてくれない
疑問を投げかけたその言葉は
少し尖っていた
母が「?」を浮かべたように
私も頭の上に「?」が浮かんだ
そんなこと
こんな場面で言うなんて
ふざけているの?
でも
彼は真剣だった
でもね
そんなこと言っても
母には意味ないんだ
できる事なら辞めたくない
でも今
この状況で
シウオッパに迷惑がかかるのなら
私はもう辞めるよ
シウオッパには
見られたくなかったよ
恥ずかしい
新しい夢
できるかな
途端に腕を掴まれて
彼は走り出した
一体何を考えているの?
少し強く言うと
彼はやっと振り向いた
彼がとった行動は
私には全く理解できなかった
あの人って、?
普段から飛んだ発言の多い彼でも
今回は流石に理解に苦しんだ
あまりにも非現実的すぎたから
勿体無いと言われたことが
私にアイドルの才能があると言われているみたいで
内心少しだけ嬉しかった
そう
とっくの昔に覚悟はしていた
ごめんなさい
そう言おうとしたのに
彼は私に話す隙を与えてはくれなかった
どうしてそこまでして
私に夢を見させてくれるの?
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♡2200 ありがとうございます♪
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。