屋上。
さっきまで普通に話してたのに。
気づいたら。
距離、近い。
風、強くなって。
長尾くんの前髪、少し揺れる。
本当は寒いより。
心臓の方がうるさい。
長尾くん、一歩近づく。
背中、フェンス。
逃げ場ない。
即答。
でも目、逸らす。
顎、そっと触れられる。
無理。
無理無理。
でも。
ゆっくり視線上げる。
近い。
近すぎる。
吐息、かかる。
少し笑う。
そして。
もっと、近づく。
目、閉じそうになる。
あ、これ。
くる。
心臓、爆発しそう。
その瞬間。
屋上のドア、ガタン。
人の声。
二人同時に離れる。
私はもう限界。
早口。
長尾くん、少し不満そう。
小声。
でも。
手、掴まれる。
優しく。
耳元。
低い声。
何それ。
“ちゃんと”って何。
帰り道。
ずっと隣。
でも触れない。
なのに。
さっきの距離が頭から離れない。
夜。
布団の中。
何回も思い出す。
もう。
ドキドキ止まらない。
𝐧𝐞𝐱𝐭…












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!