魔法が満ちていく。
こえの先には、反詠の魔法が静かに揺れていた。
れるは、深く息を吸い、そのまま、自分の胸元に光を集める。
──れるが光を放つ。
魔力が浮かび上がる。
それは、相手に向けるものではなく“自分の魂を込める魔法”だった。
──ドンッッ!!!
れるの魔法が形となって現れる。
が、反詠が作動する。
当然、れるの身体に衝撃が返る。
自分に攻撃が返ってきて、魔力が逆流し、口から血があふれる。
__それでも
──そのまま走った。
力なんていらなかった。
魔法なんてもういらなかった。
ただ、真っ直ぐに
ぼろぼろの身体で、こえに向かって──
そして、そのまま、れるはこえに飛びついた。
冷たく冷えたこえの身体に、あたたかい体温がぶつかる。
それは、魔法でもなんでもない。
___それはただのれるの想いだった。
こえの声が、手が、体が、震えた。
こえの能力の反詠が静かに崩れていく。
力が止まり、反詠が解かれ、
こえの心にあった“氷”が、少しずつ溶けていった。
れるの小さな体温が、こえの心を溶かしていく。
──涙が落ちた。
無表情だったこえの顔に、初めて感情が溢れた。
──二人は、崩れ落ちるようにその場に座り込んだ。
冷たかった空間に、やっと“音”が戻ってくる。
風が吹いた。
どこからか、たった一本だけ、小さな青い花が咲いた。
その魔法は、れるが昔、こえと一緒に編んだ、たった一つの“優しい魔法”。
──“小さな命に花を咲かせる魔法”。
──こうして、れるは“敵だったこえ”の手を取り、再び、共に立ち上がる道を選んだ。
もう一度2人で明るい未来をつくっていくために_____












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!