たくぱんが走っていった後、俺達は盗聴器の存在を思い出した。あのペンダントは最初は盗聴器なんて悪趣味なものじゃなかった。あれははるてぃーが考えたペンダントに会話ができるようあすたが機能をつけてくれた優れ物だった。まさか、俺が提案した『会話』なんかで躓くとはな。
あなたはさっきから目を閉じて動かない。あすたもどこに隠していたのか、いつもと違うパソコンを開いて何かをしている。
俺は、何をするべきなんだ?
俺ははるてぃーの、合津の一番近い所に居るはずだったのに。今は、随分と遠くなってしまった。
俺は、アイツを……。
違う、今のアイツははるてぃーじゃないんだ。俺ははるてぃーに成りすました"敵"と戦っているんだ。
これは仲間割れなんかじゃない。
あの俺のテリトリーを取り戻すための"ゲーム"だ。
俺はゲーム実況者。こんなゲーム、負けてられない!
はるてぃー、今は俺があのお前が作ったテリトリーを全力で守るよ。
今のこの3人で敵に勝ってやる。だから、
俺は眼の前に居る女の子の真実に気づきながら、行動を開始した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!