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第19話

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2026/02/08 00:00 更新





 後日 スタジオの廊下で
 あなたは笹木に呼び止められた
 ssk
 なぁあなた、ちょっとええ? 
あなた
 …はい、? 
 その声、いつもの軽さがなく
 完全に“気になってる人の呼び方”だった
 ssk
 この前のスーパーの件 
 なんやけどさぁ 
 来た、と思った瞬間 心臓が一段跳ねる

「かなかなと一緒で、子供もおって
 あれ、どういう状況なん?」

 探るというより 困っている目だった。
 噂にする気はないけど 納得できない
 ─ ─そんな顔

 あなたは一瞬だけ視線を落としてから
 ゆっくり口を開く
あなた
 ……全部は言えないです 
 笹木が目を瞬かせる
あなた
 でも、変なことはしてません
 あの子は、私にとってすごく大事な存在で 
 嘘は言っていない
 ただ 真実の一番重い部分を伏せただけ……
あなた
 か、叶さんは…… 
 助けてくれてる人です 
 その言い方に 笹木は一瞬だけ黙った

 「……ふーん」
 軽く笑ったけど 納得した笑いじゃない
 ssk
 まぁ、無理に聞かんけどさ 
 一歩近づいて、声を落とす
 ssk
 今 あなためっちゃ注目されとるやろ 
 下手したら、悪い風に取られるよ
 それは忠告で、先輩としての優しさだった

 「……気をつけや」
 あなたは小さく頷く
あなた
 ありがとうございます。ほんとに 
 笹木はそれ以上踏み込まなかった

 けれど――
 立ち去る背中は 明らかに
 何かを飲み込んだままだった。


 その夜 笹木の頭には
 あの光景が何度も浮かぶ

 叶と並ぶあなた
 しかも 自然すぎる距離で
 迷いなく手を引かれていた子供
 ssk
 ……ただの知り合い、ではないよな、? 
 そうして “まだ表に出ていない何か”が
 静かに 確実に広がり始める





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