第3話

002. 久しぶり
172
2026/01/04 02:05 更新
あなた
 町中をうろうろしていれば、コンビニくらい見つかるだろう。
 
 なんて、安直な考えで外に出たのが運の尽き。
あなた
何処ですか、ここ……
 気付けば、人通りの少ない山辺りに出ていた。
 
 辺りを見渡すも、秋の寒さで冷えた風が、うざったらしく髪を煽るだけ。
あなた
この年で迷子は……ちょっと
 今年はまだ・・中3だけども……。
 
 来年になれば高校1年生。
 
 高校生が迷子とか普通にやばい人じゃん。
 
 極度の方向音痴か、土地勘が全くない人か……。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
あなた
私、土地勘ない
あなた
(今更だけども)
 
 これでも私、今日ここに来たばっかり。
あなた
(非常に不味い)
 冷や汗が頬を伝うと同時に、冷たい風が一段と吹き荒れた。
 
 このまま家に帰れなければ、私は悲しい悲しい迷子ちゃんになる。
あなた
(……いや、ジョークにもならない)
あなた
(しかし、土地勘もないのに下手に動いたらどうなる……?)
 頭の中で悶々と考えていると、後ろから軽く肩を叩かれた。
.
どうかしました……?
あなた
あ、はい?
 集中して考えていたせいで、自分の事だと認識するのが遅れた。
 
 少し間抜けな返事をして、後ろを振り向く。
.
あ〜ッ!?
あなた
え……あッ!!?
 急に耳元で大声を出されてびっくりしたが、私も数秒遅れで大声を上げた。
あなた
“樹”!
源樹
あなたあなたの名前の最後の母音!!
あなた
う……
 至近距離で、さっきの数倍大きい声を出されたせいか、耳がキーンと痛んだ。
源樹
あ、ごめんね
 私が顔を顰めて耳を抑えただけで、樹は素直に謝った。
あなた
(うるさい自覚はあるんかい)
 
源樹
んで、どうしたの?
あなた
迷子になった
源樹
ん?
あなた
コンビニにでも行こうとしたら
源樹
うん
あなた
いつの間にかここにいて
源樹
うん
あなた
迷子になったの
源樹
うん
 樹は相槌を打ちつつ話を聞いた後、考え込む形のまま数秒固まった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
源樹
え?
 樹は「ちょっと何言ってるか分かんなかった」とでも言いたげな顔で私を見てくる。
あなた
(時差が酷い)
あなた
(あと、見ても何も変わらないんだけど……)
 私が内心呆れつつ樹を見ると、バツが悪そうな顔をしながら、頭に手をやっている。
源樹
あー
源樹
まぁ、分かってはいるから
 樹の表情は変わらずだが、外方を向いて返事をする。
あなた
(相変わらず思考を読むのは何?)
 
源樹
えーと……
コンビニ、行きたいんだっけ?
あなた
あ、うん
 少し引き攣った表情のままこちらを向き直り、態とらしい明るい声で話題をすり替えられた。
源樹
付いてきて、案内するからさ!
あなた
はぁーい……
 少々気が乗らないが、迷子のままじゃ困ると思い、渋々樹について行くことにした。
 
あなた
(でも——)
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 

 
 

 
 
 
 
 

 
 
 
 

 

 
 


 
 
 

 
 

 

 
 
 
 

 
 

 

 
 
 
 

      
あなた
(久しぶりに会えてよかった)
 少しだけ安心感を覚えたのは、また他のお話。

プリ小説オーディオドラマ