町中をうろうろしていれば、コンビニくらい見つかるだろう。
なんて、安直な考えで外に出たのが運の尽き。
気付けば、人通りの少ない山辺りに出ていた。
辺りを見渡すも、秋の寒さで冷えた風が、うざったらしく髪を煽るだけ。
今年はまだ中3だけども……。
来年になれば高校1年生。
高校生が迷子とか普通にやばい人じゃん。
極度の方向音痴か、土地勘が全くない人か……。
これでも私、今日ここに来たばっかり。
冷や汗が頬を伝うと同時に、冷たい風が一段と吹き荒れた。
このまま家に帰れなければ、私は悲しい悲しい迷子ちゃんになる。
頭の中で悶々と考えていると、後ろから軽く肩を叩かれた。
集中して考えていたせいで、自分の事だと認識するのが遅れた。
少し間抜けな返事をして、後ろを振り向く。
急に耳元で大声を出されてびっくりしたが、私も数秒遅れで大声を上げた。
至近距離で、さっきの数倍大きい声を出されたせいか、耳がキーンと痛んだ。
私が顔を顰めて耳を抑えただけで、樹は素直に謝った。
樹は相槌を打ちつつ話を聞いた後、考え込む形のまま数秒固まった。
樹は「ちょっと何言ってるか分かんなかった」とでも言いたげな顔で私を見てくる。
私が内心呆れつつ樹を見ると、バツが悪そうな顔をしながら、頭に手をやっている。
樹の表情は変わらずだが、外方を向いて返事をする。
少し引き攣った表情のままこちらを向き直り、態とらしい明るい声で話題をすり替えられた。
少々気が乗らないが、迷子のままじゃ困ると思い、渋々樹について行くことにした。
少しだけ安心感を覚えたのは、また他のお話。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。