⚠️ パラレルワールド ⚠️
⚠️ 前回のあなたが泥酔してから別次元の話書きたくなったから書きます ⚠️
夜道はやけに静かで、街灯のひとつひとつが淡い金色の輪を地面に落とし、その光の中をゆっくりと歩く。
マネーの腕の中で、あなたは小さく揺れていて、抱き上げられるたびに胸の奥の鼓動が伝わるみたいに、規則正しい振動が身体の奥へ奥へと沁み込んでいく。
「……軽いな」
マネーの声は、夜の湿った空気に溶け、どこか自分に言い聞かせるように低く、慎重で、まるで今この瞬間を乱暴に扱ったら壊れてしまうものでも抱えているみたいな緊張が滲んでいる。
あなたのまぶたが、ふるりと震える。
意識の底から、ゆっくり浮かび上がるみたいに。
視界はぼやけ、街灯がにじみ、目の前にあるのはやたら近い金色の布地と、心臓の音。
どく、どく、どく。
(……ゆめ?)
アルコールで溶けかけた思考が、現実と夢の境界線を曖昧にしていて、こんなふうにマネーに抱き上げられているなんて、現実だったら心臓が爆発しているはずなのに、不思議と怖くなくて、むしろ温かくて、だからきっとこれは夢なんだと、勝手に結論づけてしまう。
「……まねー……?」
かすれた声。
マネーの肩がぴくりと揺れる。
「起きたか」
低く、でもすぐに少しだけ柔らかくなる声音。
あなたはうっすら目を開け、焦点の合わない視線で彼を見上げる。
髪が街灯に照らされて、本当に眩しくて。
(やっぱり夢じゃん)
だって、こんなに綺麗なの、現実なわけない。
「……まねー」
名前を呼ぶたびに、胸の奥が甘く痛む。
「ん?」
「すき」
あまりにもあっさり、あまりにも無防備に。
マネーの足が止まる。
「……は?」
「すきだよ」
ふにゃ、と笑う。
夢だと思っているからこその無敵さで、あなたはマネーの胸元に頬を擦り寄せ、子どもみたいにぎゅっと服を掴む。
「だいすき……」
その言葉は、夜よりも静かに、でも確実に彼の心臓へ届く。
マネーの喉がひくりと鳴る。
「あなた、それは」
止めようとした言葉は、最後まで続かない。
あなたは腕の中で少し身体を起こし、ぼんやりとした瞳で彼を見つめる。
「夢だもん……」
小さく笑う。
「だから、なに言ってもいいでしょ……?」
その無邪気さは、刃物よりも鋭い。
マネーの顔が、夜でもわかるくらい赤く染まり、視線が泳ぐ。
「よくない!!」
「いいの」
甘えるように、腕を首に回す。
距離が、急に近くなる。
アルコールの匂いと煙草の残り香が混ざり、あなたの吐息が首筋に触れて、マネーの呼吸が一瞬止まる。
「……まねー、あったかい」
そして次の瞬間、ちゅ、と小さな音が夜に落ちる。
首元に、柔らかい感触。
マネーの思考が、完全に停止する。
「……っ!?」
心臓が、爆発寸前みたいに跳ね上がる。
あなたは満足そうに目を細める。
「すきだから……」
夢の中の告白みたいに、何度も繰り返す。
「まねー、すき」
マネーはしばらく固まったまま、やがてゆっくりと息を吐く。
夜空を見上げ、星もない暗闇に小さく呟く。
「……これは試練か」
けれど腕の中のぬくもりを離す気は一切なく、むしろ落とさないように抱き直す力がほんの少しだけ強くなる。
「夢ではない」
かすれた声で、耳元に落とす。
「現実だ、あなた」
けれど当の本人は、もう再びまぶたを閉じかけていて、ふわりと笑う。
「……現実だったら、はずいじゃん……」
小さな寝息が混ざる。
マネーはしばらくその寝顔を見つめ、首元に残るぬくもりを指でそっとなぞる。
「覚えていなくても構わん」
静かに、でも確かに決意を込めて。
「俺は忘れんぞ」
再び歩き出す足取りは、さっきよりもずっと慎重で、でもどこか誇らしげで、夜の街灯の下、金色の影と金髪の影が重なりながら揺れていくその光景は、まるで夢と現実の境界線そのものが、二人の間で静かに溶けていくみたいだった。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!