信じられなかった。
信じたく、なかった。
この世界では裏切りなんてよく聞く話。
だけど自分には無縁のものだと思っていた。
SEVENTEENはもちろん。
あなただって例外じゃなかった。
声が震えて、
自分でもちゃんと話せているのか分からない。
あんなに近くで見てきたんだ。
こんなことするはずないのに。
疑ってしまう頭と、
疑うしかない状況が
僕たちの思考を鈍らせる。
みんなの声が聞こえるのに、
肝心のあの子は
ただ何も答えずにこちらを見ている。
無理にでも守るしかないと、
動こうとしたとき、
あなたの口が小さく動く。
小さな声だった。
何の謝罪かは分からない。
だけど、今の僕たちには
十分すぎる言葉だった。
心が、音を立てて崩れるようだ。
僕が信じていたのは何だったのか。
静寂を裂くように、
男の笑い声が小さく響く。
違う、そんなはずない。
あなたはそんな子じゃない。
だってあなたは僕たちの大事な家族で、
あなただってそう思っていたはずで。
いろんなことを経験して、
泣いて、笑って。
そのすべてが嘘だったなんてこと。
早くしろと言わんばかりに
そいつの服を引くあなた。
男の一言で、
周囲を囲んでいたXが一斉に動き出す。
気付くのが一瞬遅れた。
ホシの叫び声で咄嗟に身体を逸らす。
鋭い刃が肩を掠め、
熱い痛みが走った。
辺りを見回せば、
Xに向かい合っているメンバーたち。
ホシが蹴り飛ばされる。
ディノが敵に囲まれている。
ミンギュが誰かを庇って傷を負う。
こんなことは初めてだった。
誰も冷静じゃない。
戦況を把握する余裕も、
連携を取る余裕もない。
何より、心が追いついていなかった。
蹴りを入れられて、
思わず膝をつく。
体の動かし方を忘れたみたいだ。
何をどうしたらいいのか分からない。
だって、あなたを守っているつもりだった。
だけどあなたは、
僕たちがこうなることを望んでいたの?
僕はもう、あなたの顔を
見ることができなかった。
音すら聞こえないように。
考えることをやめた。
そうしなければ、
余計に現実を自覚してしまいそうで。
一つ、また一つと増えていく傷より
ずっと痛む胸に
耐えうる手段を考えるしかなかった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。