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第3話

1☪️出会い
24
2023/06/24 04:10
いつも通りの日常。好きな時に好きなことをして、言われたことを言われた時にする。
三島
三島
ねむ...
2本目の煙草を取り出しながら呟いた。
涼風凛花
涼風凛花
あー!三島さん!!
涼風凛花すずかぜ りんかという名前に合わない無駄に元気な声で駆けてくる後輩。
正面に立つと、手に持つ煙草を取り上げようとしてくるのでひょいっと手を上に伸ばす。身長差的に涼風には届かない。
涼風凛花
涼風凛花
怒られても知りませんよ!?
子供のように頬を膨らませながら、そう言う涼風に適当に返事をしてまだ残っている煙草を吸った。
目の前でまだ叫んでいる涼風を置いて、俺の視線は別の人間に注がれていた。
三島
三島
......
この職場の人間には珍しい癖のない真面目そうな顔。新品であろう皺一つないスーツ。俺よりも少し低い背丈。
涼風凛花
涼風凛花
ちょっと!聞いてます⁉︎
そんな涼風の言葉を右から左に流し、俺はアイツを追った。
涼風凛花
涼風凛花
三島さんっ!!
後ろで声が聞こえるが、そんなことはどうでもいい。書類を持つ手とは反対の無防備に降ろされた手を掴む。
赤石正太
赤石正太
...誰ですか?
警戒心剥き出しの視線でそう問われる。自分自身の行動に驚く間もなく、コイツの質問に答えた。
三島
三島
三島。三島信悟
赤石正太
赤石正太
はぁ...?それで何か
すぐにでも立ち去りたいというような言葉を投げかけてくる。そんなコイツを少し困らせてみたくなった。
三島
三島
上司に名乗られたら自分も名乗るのが常識だろ?
赤石正太
赤石正太
いや、初めて聞きましたよ。そんな常識
俺だって聞いたことない。だが、職業柄と言うべきか、自分の性格上と言うべきか、嘘をつくのは息をするように俺にとって簡単なことだ。時々、そんな自分に恐怖を覚える時もあるが。
諦めたように1つ溜息をつくと、コイツ__赤石正太あかし せいたは口を開いた。
赤石正太
赤石正太
潜入捜査第2班の赤石正太です
三島
三島
(2班か...)
俺がいる1班にどうすればコイツを移動させれるかなんて自己中心的なことを考える。
赤石正太
赤石正太
名乗りましたよ。離してください
そんなことを考えている間にも、不機嫌そうな顔をして、俺が掴んでいる手首に視線を向けていた。
それ程力を入れていない。振り払えば簡単に逃げ出せるのにそう言う赤石。そんな赤石に対して、好感度が上がる。
三島
三島
振り払えば離れるけど?
試すようにそう言ってみた。すると、赤石はトゲトゲとした言葉を投げてきた。
赤石正太
赤石正太
仮にも上司なようですから、無理に振り解いて後で色々言われても困るので
自分の将来のことを考えた理由に見た目通りの真面目さを感じる。
三島
三島
...そっか
手を離すと、俺に力をかけていたのか寄りかかる先がなくなり、赤石は後ろに倒れ込みそうになる。
三島
三島
おっと...!
赤石正太
赤石正太
なっ...
赤石を抱え込むようにして、前に倒れ込んだ。押し倒したような状態になり、上から見下ろす赤石は真っ赤だ。
後頭部は片手で包み込み、ぶつかりはしていないと思う。赤石の顔の真横に手をつくその体制は、涼風に言わせれば床ドンというヤツだ。
赤石正太
赤石正太
は、離れてくださいっ!!
羞恥心からか、俺を押し返そうとする赤石の手は力が入っておらず、ビクともしない。
もう少しこの状況を楽しんでいたかったが、聞きつけたのか職場の人間が周りに増えてくる。このことがきっかけで何か噂を流されたりした場合、赤石が会ってくれなくなる可能性がある。それは避けたい。
そう思い、渋々赤石の上から退き、手を差し伸べる。
赤石正太
赤石正太
だ、大丈夫です...っ
手を掴み返すことなく、赤石は自力で立ち上がって歩いて行ってしまった。行き場のなくした手を見つめる。
涼風凛花
涼風凛花
三島さん!
三島
三島
おー...
涼風に呼ばれ、手から視線を離した。

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