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第1話

林檎の実
19
2023/06/13 08:57
11月16日今日

朝、うだるような暑さで目が覚めた。

それに苛立ちを覚えながらもベッドからもそもそと
這い出し、暑苦しい布団とおさらばする。

部屋の窓を開ければ外で小鳥達が五月蝿く
喚き散らし、それに対しても苛立ちを覚えながら
俺……藍里 叶芽あいざと かなめは昨日の出来事を思い出し、
頭を抱えるのであった。
11月15日昨日

今日は特に依頼が入っている訳でも無く、
ただただ暇な1日になると思っていた。
叶芽
あ"〜暇……
1人、自身の運営する探偵事務所で何気なしに声を
上げるが、勿論誰からも返事は帰ってくることは
無かった。
叶芽
(……なんか無性に虚しくなってきたぞ?)
叶芽
(どっか行きてぇけどここを無人にする訳にもいかねぇしなぁ)
叶芽
はてさて、どうすっかねぇ……
などと自問自答を繰り返していると、事務所の扉が
“コンコン”と、ノックされる。
それを聞いた叶芽は待ってましたと言わんばかりに心を踊らせながら『どうぞ、お入り下さい。』
と、声をかけた。
すると、扉は控えめに開けられ、そこに現れたのは1人の少年であった。
初めこそ驚きはしたものの叶芽は直ぐに
笑みを浮かべながら少年に近づき、自身ができる限りの精一杯の優しい声色で少年の名前を訪ねた。
叶芽
こんにちは、少年。
俺は藍里、藍里 叶芽。
君の名前は?
少年は少しこちらを警戒する素振りを見せながら
小さな声で名を名乗った。
蒼太
……そうた。
むらべ そうた。
叶芽
蒼太くんって言うんだ。
お家の人は?ここには1人で来たの?
その問いに対して、蒼太と名乗った少年は
コクリと頷いた。
叶芽
(なるほど?
1人で来たわけね)
叶芽
そう……
えぇっと、蒼太君って今いくつ?
蒼太
……5つ
叶芽
あ……(察し)
そ、そうなんだね。
叶芽
(5つのガキが1人でこんなとこ来るとか……
迷子か……?)
叶芽
(とにかくコイツは親元にきっちり送り
かえしてやらねぇとな……)
叶芽は蒼太と目線を合わせながら話を続ける。
叶芽
あのね、蒼太君。
ここは君くらいの歳の子が来る所じゃ
ないからね?
叶芽
お家の場所、分かる?
なんならそこまで送ってってあげるかr
蒼太
ここなら、なんでもおねがいきいて
貰えるって!
叶芽がそう蒼太に声を掛けていると、
蒼太は叶芽の言葉に被せるように叫ぶように
話し始めた。
蒼太
あ、あのねッ!
おねがいが、あるの……
蒼太
ゆみちゃんをね、、
おそとに、だしてあげたいの!
蒼太は懇願する様に叶芽の方を見あげてきた。
その姿はまるで、過去の叶芽の様で……
気づいた時には口を開いていた。
叶芽
……それは、どうして?
蒼太
あのね、ゆみちゃんね、
びょういんにいるの。
蒼太
ゆみちゃん、びょうきしちゃってね、
でも、ゆみちゃんいつも
そとであそびたいって!
だから、だから、、ね
だしてあげたいの……
叶芽
…………
それを聞いた叶芽はできる限り、優しく、
本心を悟らせないように蒼太に話しかける。
叶芽
……あのね、ゆみちゃんって子は
病気なんでしょ?
確かに、外で遊びたいかもしれないけど、
それのせいでゆみちゃんがもっと苦しく
なっちゃうのは嫌でしょ?
蒼太
……うん。
叶芽
大丈夫だよ、ゆみちゃんの病気が治ったら
外でまた遊べるから……ね?
今は、ちょっとの間だけ我慢だよ。
蒼太
……ほんと?
ほんとにゆみちゃんの、びょうき
なおる?
叶芽
うん、きっと治るよ。
蒼太
そっかぁ、よかった!
その後、蒼太はお礼を言って事務所を去っていった。
1人。




叶芽が1人。




叶芽は1人。




“あいつ”はもう居ない。




あとがき
ビミョーな終わり方して申し訳ないです🙇‍♀️
そして長らく更新してなくてごめんなさい。
しかも新しいのとか…………

リクエスト募集してます。
全力で応えさせていただきます。
これの続きも出来れば書きたいなぁとは思ってます。

お願いします(?)

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