【11月16日】
朝、うだるような暑さで目が覚めた。
それに苛立ちを覚えながらもベッドからもそもそと
這い出し、暑苦しい布団とおさらばする。
部屋の窓を開ければ外で小鳥達が五月蝿く
喚き散らし、それに対しても苛立ちを覚えながら
俺……藍里 叶芽は昨日の出来事を思い出し、
頭を抱えるのであった。
【11月15日】
今日は特に依頼が入っている訳でも無く、
ただただ暇な1日になると思っていた。
1人、自身の運営する探偵事務所で何気なしに声を
上げるが、勿論誰からも返事は帰ってくることは
無かった。
などと自問自答を繰り返していると、事務所の扉が
“コンコン”と、ノックされる。
それを聞いた叶芽は待ってましたと言わんばかりに心を踊らせながら『どうぞ、お入り下さい。』
と、声をかけた。
すると、扉は控えめに開けられ、そこに現れたのは1人の少年であった。
初めこそ驚きはしたものの叶芽は直ぐに
笑みを浮かべながら少年に近づき、自身ができる限りの精一杯の優しい声色で少年の名前を訪ねた。
少年は少しこちらを警戒する素振りを見せながら
小さな声で名を名乗った。
その問いに対して、蒼太と名乗った少年は
コクリと頷いた。
叶芽は蒼太と目線を合わせながら話を続ける。
叶芽がそう蒼太に声を掛けていると、
蒼太は叶芽の言葉に被せるように叫ぶように
話し始めた。
蒼太は懇願する様に叶芽の方を見あげてきた。
その姿はまるで、過去の叶芽の様で……
気づいた時には口を開いていた。
それを聞いた叶芽はできる限り、優しく、
本心を悟らせないように蒼太に話しかける。
その後、蒼太はお礼を言って事務所を去っていった。
1人。
俺が1人。
俺は1人。
“あいつ”はもう居ない。
あとがき
ビミョーな終わり方して申し訳ないです🙇♀️
そして長らく更新してなくてごめんなさい。
しかも新しいのとか…………
リクエスト募集してます。
全力で応えさせていただきます。
これの続きも出来れば書きたいなぁとは思ってます。
お願いします(?)
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。