第19話

背負う新月、降ろす満月
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2025/09/23 08:29 更新
月島side
国見英
京治さん、たまごあります?
赤葦京治
あぁ、あるよ……はい、これでいい?
国見英
あざます
孤爪研磨
………………
月島蛍
………………
いやだから、気まずいって。朝あんなこと言ったばかりだからさぁ…なに話していいかわかんないんだけど。とりあえず謝るべきだろうか。いくら僕だからって、罪悪感が全くないわけじゃない。人並みにはあるし、こんな性格だから、感じることは多い。
月島蛍
……ぁ、あの、研磨さん。今朝は…
孤爪研磨
朝、ごめんね
月島蛍
…え?
孤爪研磨
その、おれが…勝手なこと、して、迷惑かけちゃったから…
月島蛍
は…?
なんだ、なんなんだ、この人。理解できない。
なんで謝るんだ、悪口を言ったのはこっちなのに。まるで自分が悪いみたいに、自分にしか責任がないみたいに。なんだそれ、こっちがどれだけ、どれだけあなたに、
孤爪研磨
………………
あぁほら、自分でも納得してない顔して。そんな顔するぐらいなら言わなきゃいいのに。その顔がより一層人を不快にしてるって、なんでわかんないかな。
孤爪研磨
っ…、
__目が、あった。







僕とおんなじ、黄色の目。
僕とはちがう、沈んだ目。






小さい頃、兄に言われたことがある。
「蛍の目は、空に浮かんだ満月みたいで、きれいだね」と。
僕が空に浮かんだ満月なら、研磨さんは見ることのできない新月だろうか。それとも、もう浮かぶことのない、満月だろうか
月島蛍
………そうやって背負うのは、楽しいですか
孤爪研磨
え…?
月島蛍
これからもずっと、今みたいに抱えて背負って飲み込んで。納得できないならしなきゃいいのに
国見英
っおい、けぃ…
赤葦京治
英、ここは2人に任せよう。今止めたところで、きっとまたいつか同じことがおこる。なら、早いうちに解決しちゃったほうがいいでしょ?
国見英
……まぁ、それはそう、ですけど
月島蛍
身軽なほうが気楽だって、わからないあなたじゃないでしょう?
孤爪研磨
っまぁ、ね……でも、それでも、背負わなきゃいけないの。おれは、これしかやり方、知らないから
月島蛍
………昨日も言ってましたね、それ。だから僕は、あなたが嫌いなんだ
それは、国見が夕食を作ると部屋を去ったあとだった。急におじさんが部屋に入ってきて、言ったのだ
父親
けいくん、研磨くんの荷造り手伝ってやってよ
月島蛍
……は?なんで?
父親
京治が夕食作りに行ってくれたんだけどなぁ、研磨くん、重いもの持てないって荷物放置しちゃって
月島蛍
んなバカな……
父親
行ってみればわかるよ。想像以上にあれだから
月島蛍
はぁ…
普通に、そんなアホなことがあるのかと思った。だってあの人、高2でしょ?そんなわがままが通用するとでも思ってるのか。そう思って、ドアを開けた。





目を疑った。




孤爪研磨
ぅわっ…!?
    (( がしゃんっ!
孤爪研磨
ってて………片付け…(( ずるっ!
    (( がたんっ!!
月島蛍
………………
この部屋だけ大地震でも起こったんか?????????
初手の感想はそれだった。あちらこちらに散りばめられた段ボールだったもの、後回しにされたであろう小さな小物たち、今にもこぼれ落ちそうな棚の上のペットボトル……全てが僕の潔癖心に火をつけた
無言で段ボールを拾い上げ、一箇所にまとめる。後ですぐにすずらんテープで縛り上げられるように、バランスよく重ねていく。もう慣れた作業だ
孤爪研磨
ぅえ、あ、の…
月島蛍
貴方はそこで大人しくしててください。なにがどうなったらこうなるんですか……
孤爪研磨
…か、片付、け…その、にがてで…
月島蛍
苦手とかいうレベルじゃないと思いますけどね…研磨さん、案外不器用な人ですか?
孤爪研磨
わ、わかん、ない。家事とか、あんまりちゃんと、教えてもらったためし、なくて
月島蛍
…見てれば自然と覚えません?
孤爪研磨
………見る機会、なかったから
月島蛍
…そうですか
「見てなかったんじゃなくて?」と、無駄に否定的な言葉は飲み込んだ。それを言ってしまうと、なぜか彼が壊れてしまう気がして。
月島蛍
これはどこに置けば?
孤爪研磨
あぁーっと…そこら辺に、置いといてくれ、たら、
そんなんだから汚くなるんだろうなぁ…なんて、そう思ってたことが顔に出てしまっていたらしい。一拍置いて、研磨さんは言った
孤爪研磨
…やっぱ、そこの机の上
月島蛍
え?あぁ、はい
孤爪研磨
…………ごめん。その、迷惑、かけて
月島蛍
別に、僕が勝手にやってるだけなんで
孤爪研磨
でも、
月島蛍
いいですからそんな、気にしなくて
孤爪研磨
うん……ごめん
なにをそんな、思うべきところがあるのだろう。正直、今回は貴方そんなに悪くないでしょうに
月島蛍
……謝ってばっかで、疲れません?
そう聞くと、彼は少し驚いたような仕草をした。聞かれるとは思ってなかったんだろうな
孤爪研磨
……別に……うん、もう、慣れたから。
………………それに、おれは、背負って生きてかなきゃ、いけないし
月島蛍
…そうですか
あぁ、やっぱり。この人は苦手だ。
月島くんはわかりやすく研磨くん相手にイヤイヤ感だしたりしてますけど、研磨くんも研磨くんで月島くんのことデカくて苦手らしいです。
苦手と嫌いって、明確に違うと言える境界線がたぶんあると思います。理屈的な話ではなく、です。私はから以上です。
では、また次回!!!

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