竜胆side
オレには幼なじみが居た。
可愛くて、優しくて、誰もが憧れて恋焦がれるような女。
勿論、オレもそのウチ1人だった。
その幼なじみとは本当に長い付き合いで、
俺の母親とソイツの母親は同じ時期に身ごもり、同じ時期にオレたちを産んだ。
だからオレたちは家族ぐるみで仲が良かった。
オレの親父は病院の医院長。
ソイツの母親は現役女優。
まぁまぁな家庭同士仲が良かった訳だ。
ある時、ソイツの母親は自〇した。
世に言う誹謗中傷からだったそうだ。
TVでは、毎日のようにニュースで大々的に報道されていた。
ソレを見ながらソイツは泣いていた。
その時だった。
今までソイツが家に居ようと、
家族ぐるみで食事に行こうと、
全く興味を示さなかった兄ちゃんが
その時初めて
ソイツに話しかけた。
兄ちゃんとソイツが言葉を交わしているところなんて見た事がなかった。
単順に驚いた。
そして、ソイツは兄ちゃんに
と、言った。
その日を境に兄ちゃんは変わっていった。
普通の「男の子」の髪型をしていたのに
急に髪を伸ばし始めて、髪を切ろうと言われても断固拒否するようになった。
ソレからことある事にソイツを気にするようになった。
今までは、一切見向きもしなかったのに。
そしてオレは、
そんな兄ちゃんと仲良くするソイツに________
ソイツと仲良くする兄ちゃんに_____________
_____"嫉妬するようになった。"______
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。