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第4話

第4話
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2024/01/08 08:02
こんばんは、筆者のなのです

年が変わったタイミングで更新しようと思ったのですが遅くなってしまい申し訳ありません💦

2024年もよろしくお願い致します😊

少しずつですが更新しているので楽しんで読んで頂ければ幸いです
〜蓮side〜
亮香様、準備はいかがでしょうか?
亮香
あ、もうすぐできます
今日は亮香様のお友達の、舞浜鈴音様に呼ばれてパーティーに出席する

なんでも、彼女の父親の誕生日らしい

知り合いの執事にヘアセットやメイク、衣装の準備などをしてくれるお店を知っている人がいたので、今亮香様の準備を任せている

近くの椅子で本を読みながら彼女の準備を待つ
店員
亮香様の準備、整いましたよ
そう声を掛けられて顔を上げると、亮香様が部屋から出てきた

いつもは膝より長い制服や私服のワンピースだが、今着ているのは膝より短い黒のドレス

亮香様は凄く綺麗な方だから、敢えてシンプルなデザインのものを選んだらしい

首元もいつもより開いていて、目をやる場所に困ってしまう
店員
元々肌がお綺麗なのでメイクも薄めに致しました
ヘアはいつものポニーテールで、髪を巻いて綺麗にまとめられている

服と近い素材のリボンのヘアアクセサリーに、服とセットのバッグ

執事としたことが、亮香様に見惚れて褒めることを忘れてしまうくらいだった

そんな様子を店員は察していたようで
店員
目黒さん、どうです?
少し揶揄うように亮香様の背中をそっと押して私に近づかせる

少し照れている亮香様を見るのも初めてで、鼓動が高鳴るのを感じる
凄く、綺麗です
もっと気の利いた言葉をかけることが出来ただろうに、今の私にはそれが精一杯だった

亮香様はまた照れたように笑っている
亮香
ありがとうございます
そうしているうちにそろそろパーティーに向かう時間になった
ありがとうございました
店員
いえ。またご利用くださいね
その店員は悪戯っぽく笑って、それから私の耳許でこう言った
店員
こんな綺麗なお嬢様、男は放って置かないでしょうね。沢山の人から求婚されちゃうかも
不覚にもその言葉が私の恋心に火をつけたのだろう

気づけばパーティーで亮香様を誰にも取られないように、と考えてしまっていた

いやいや、私は執事なのだから
亮香
蓮さん…?
考え込んでいるのが分かったのか、亮香様が私の顔を覗き込んでいる

予想よりずっと近い距離で、鼓動は高鳴る一方だ
大丈夫です。行きましょうか
車に乗って指定されたところに行くと、いかにもパーティーが行われそうな煌びやかな建物が見えてきた
亮香
うわぁ、凄い…
亮香様はパーティー出席したことは?
普通のお嬢様ならありそうだが
亮香
初めてです。小さい頃から勉強とピアノくらいしかやってこなかったので
車を降りると、私たちを待っていたのか鈴音様が亮香様に駆け寄ってきた
鈴音
亮香!来てくれてありがとう。お父様が亮香に会いたがってて
亮香
鈴音、お招きありがとう
二人は鈴音様のお父様に会いに行ってしまった

物凄い勢いに驚いていると、鈴音様の執事の岩崎さんは動じることなくニコニコと二人を見ている

あれが通常運転なのだろう

二人に着いて岩崎さんと中へ入るとかなりの人が集まっていた

鈴音様のお父様もかなり有名企業の社長だから、知り合いなども多いのだろう

もちろん、亮香様より少し年上くらいの男性も多くいる

亮香様は静かに、鈴音様のお父様と話している

お父様も鈴音様と同じように、明るそうな印象だ

暫くして話終えたのか亮香様がこっちに歩いてきた
もうお話は終わったのですか?
亮香
はい。やはり人が多く慣れない所は疲れますね
その後も、亮香様を訪ねて多くの人が話しかけてきた

亮香様は敢えてお父様の職業は言わず、鈴音様の友人だということで話していた

もちろん結婚目的で近づいてくる人もいたが、亮香様は全て丁寧に断っていた
亮香様、お食事を召し上がってはいかがですか?
亮香
食事は、帰ってから蓮さんと取ります。今は人も多いですし
パーティーの会場に並んでいるのは、有名なホテルのレストランの、優秀なシェフに作らせた料理のようだ

普段は食べることのない高級料理ばかりだから、この機会に食べておいてもいいと思ったが…
普段はあまり食べられない料理が多いと思いますよ
亮香
私は高級なものがあまり口に合わなくて…。それにここでは蓮さんと一緒には食べられないと思いますし
確かに執事やメイドはお仕えしている人と一緒に食事を取ったりはしない

でも亮香様はそういう考えを持たない人で、私と一緒に食事を取るのが当たり前だと思っている

この場でもそんな風に思ってくれていたので心が温かくなった
少し外に出ましょうか?
亮香
抜けても大丈夫ですか?
岩崎さんに話をして、亮香様を連れて部屋の外のソファに座らせる
お疲れですね
亮香
駄目ですよね。これからもこういう場は少なからずあるのに、苦手なんです…
いつも40人弱のクラスで過ごしている亮香様には確かに慣れない環境だ

しかも賑やかで煌びやかなこの空間は亮香様を疲れさせる要因でしかない
大丈夫です。亮香様には私が着いてますから
そう言ってしまった後で、お仕えしている人に対して失礼だったかな、と後悔したのだが
亮香
ふふ、それは頼もしいです
どうしてそうな綺麗な顔で私に対して笑うのですか

執事なのに、恋人みたいに笑いかけられたら

私はこの気持ちを抑えられなくなってしまう…




そんな風に彼女を眺めていると、急に目を閉じて力が抜けたように前に倒れてきた

慌てて支えたが、彼女の小さな寝息が聞こえてきて少しホッとした

やっぱり疲れていたのだろう

亮香様の愛らしい頰を優しく撫でる
お疲れ様でした
岩崎さんに先に帰ることを告げると、彼は遅くまでお疲れ様でした、と笑顔で返してきた

その後亮香様をお姫様抱っこで車に運ぶ

軽い、細い、美しい

執事としての職務を全うしているのにこんなに動揺しているなんて、かなり恥ずかしい

亮香様相手にこんなに胸が高鳴るなんてきっといけないけど

私は亮香様に恋をしている

そんなことを考えながら家までの車を走らせた

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