もう、スマホを見る事が出来なくなった。
みさとの写真を見る。彼女は真っ直ぐで素直で、明るい笑顔で俺を幸せにしてくれたなぁ。
なのに、なんで俺は彼女の誹謗中傷に気が付かなかったのだろう。もっと早くに気づいていれば、彼女は死なずに俺と幸せに暮らしていたはず。
いっそのこと、結婚だってできた。
みさと、ごめん。俺、この世界で生きられるような自身なんて無くなっちまった。
鏡に映る俺は、今までで一番情けなかった。
心の傷跡が消えない。
復讐は、失敗した。
最悪、最低な男だ。
こんな姿をみさとは上から見てるとしたら、彼女はなんていうんだろう。きっと、フラれている。
最後の缶ビールを渋々と味わった。
…また変な復讐心がついてしまった。今度は酔いが強く、気づけば缶スプレーを持って、よろけながら家から飛び出し、路地裏へと歩いていった。
これが、裏に潜む俺だ。
俺が汚したはずの場は、すっかり元のしんとした静かな路地裏に戻っていた。
また、もう一度。
今度は誰もいない。
止める奴もいない。
携帯もならない。
最期で、暴れて終わらせよう。
…
目を覚ますと、赤く光る灯りが複数個見えた。
サイレンがずーんと頭に響いてきた。
懐中電灯が、俺に当てられる。
警察だ。
ごめん。みさと。悪い奴は俺だ。
多分お前は天国に行って、俺は地獄行きだ。
もう、いっそのこと俺を振ってくれ。
その光に晒されて、俺は力を無くした。
ようやく全てを、受け入れられた。
俺には日本の心臓部、東京には似合わなかった。
彼女との思い出も、俺が暴れた記憶も。
全て、名残惜しい。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!