第3話

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2025/07/18 13:00 更新
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
あなた!!
朝、目を覚まして朝食を作ろうと手を洗っていると、大きな声で名前を呼ばれた
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
おはよう!早起き出来て偉いね!!
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
今日も世界一可愛いよ!!
朝っぱらから大きな声で私をベタ褒めするこの人は兄
(なまえ)
あなた
兄さんうるさい
(なまえ)
あなた
おはよう
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
あなたってば辛辣!でもそこがいい!!
妹愛が強すぎて最早変態みたいになってる
(なまえ)
あなた
朝食の準備手伝って
(なまえ)
あなた
父さんと母さんは?
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
母さんは川で洗濯、父さんは街に出て染めた布を売りに行ってるよ
父は「紺屋」、布を藍で染め、それを街で売ってお金にしてる
母はいつも私より早起きして家事をこなしてくれている
だから私も兄も家事を手伝うんだ
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
何すればいい?
(なまえ)
あなた
そ、大根切って
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
はーい!♡
元気よく返事をした兄はいそいそと包丁を取り出して大根を切り始めた
(なまえ)
あなた
…兄さん、結婚とかしないの?今年で20でしょ…
野菜の土を水で流しながらいつもの疑問をぶつける
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
結婚?可愛い妹がいるからなぁ!
(なまえ)
あなた
あっそ
思った通りの返事に、冷たくあしらってこの話題は終わりにしようとした
のに
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
あなたは俺に結婚して欲しい?
(なまえ)
あなた
なんで続けるかなぁ…まぁ私が振った話題だから仕方ないけど
(なまえ)
あなた
…相手による
(なまえ)
あなた
兄さんが好きになった人で、兄さんのことちゃんと好きな人ならして欲しい…
(なまえ)
あなた
…でも…寂しい、と思う
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
…可愛い!!♡
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
お兄ちゃん朝からあなたの貴重なデレが見れて嬉しいよ!!
(なまえ)
あなた
…、
少し黙り込んだと思えばこれだ、慣れたから今更呆れたりなんかしないぞ
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
安心してぇ!!俺好きな人いないし!!
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
っていうかもうあなたが俺の好きな人だから!!
(なまえ)
あなた
…はぁ…、
前言撤回、やっぱり呆れます
夢咲葉奈
夢咲葉奈
あらあら、今日も元気ねぇ
穏やかな声でそう言いながら入って来たのは母
(なまえ)
あなた
よく見て、元気なのは兄さんだけ
夢咲葉奈
夢咲葉奈
ふふ、でも仲良しじゃない?
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
だよね!!俺達世界一仲良しだもんな〜!!
(なまえ)
あなた
夢咲葉奈
夢咲葉奈
そう難しい顔をしないで、
夢咲葉奈
夢咲葉奈
2人が仲良さそうなのを見ると私達も幸せになるわぁ…
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
じゃあもーっと仲良くしような!!
(なまえ)
あなた
これ以上どうしろと
夢咲_瑛斗@あきと_
夢咲瑛斗あきと
ただいまー
呑気な母と兄にツッコミを入れた所に、父が帰ってくる
(なまえ)
あなた
おかえりなさい、もうすぐ朝ごはん出来るよ
夢咲_瑛斗@あきと_
夢咲瑛斗あきと
お!今日は煮物かぁ!朝から手が込んでるなぁ…
夢咲_瑛斗@あきと_
夢咲瑛斗あきと
ありがとう
(なまえ)
あなた
どういたしまして
(なまえ)
あなた
ほら、とっとと座って、私がやるから
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
あなた優しい!!♡
(なまえ)
あなた
ウザい
私の家族は優しいから仲が良い、そんな場所にいると心が温かくなってふわふわするんだ
(なまえ)
あなた
(__なんで、)
なんでこんなことに
夢咲_瑛斗@あきと_
夢咲瑛斗あきと
逃…げろ
(なまえ)
あなた
ぁ…
ピチャ…
思わず腰が抜けたまま後ずさると、父のものか母のものかも分からない血溜まりが揺れる
目の前に広がる惨状を、ただひたすらに
ハハッ、いいなぁ…新鮮で美味そうだ…
そこの女のガキはもっといい…
(なまえ)
あなた
ひ、…
鋭い爪を持つ、人の形をした生き物がこちらを見ても、抜けた腰と混乱した頭では精々悲鳴をあげる事しか出来なかった
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
…〜ッ、俺の妹に近寄るな!!
バッ!と私を庇うように目の前に立ち塞がり、両腕を広げる兄
あ〜?お前もいいなぁ、俺ぁ面がいい奴も好きだぜ
顔面をぐっちゃぐちゃにするのがいいんだ!
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
…ッ
末恐ろしいことを言われても、歯を食いしばって動かない
(なまえ)
あなた
やめ…やめて…兄さん、死んじゃう…
ポタッ、ポタッ、と涙が地面を濡らす
「死んじゃう」と口に出してやっと、父と母がもうこの世のどこにもいないことを理解した
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
…あなた、走って逃げろ
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
な?兄ちゃん大丈夫だから
ニカッと眩しい笑顔を見せた兄の手は震えていて
私は震える兄の手を引いて、動かない体に鞭を打って、全力で走った
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
は…!?
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
あなた、ダメだって!これじゃ直ぐに追いつかれる!!
(なまえ)
あなた
…ッ
馬鹿なことをしてるのは自分でも分かってた
ただ、兄を見捨てるなんて選択は絶対に出来ない、しない
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
あなた!離せ!!
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
アイツは俺が足止めするから!!あなたは街に降りて人を…
(なまえ)
あなた
やだ!!
(なまえ)
あなた
兄さんはどうやって足止めするつもりなの!?
(なまえ)
あなた
あんな…バケモノ相手に…どうするつもりなの!?
絶対離すもんかと、繋いだ手を強く握り締める
おーいおい、お二人さん
口論してる余裕あんのかぁ?
いきなり目の前に現れた先程の男に、絶望する
(なまえ)
あなた
へ、…
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
は…なんで…
私達は一直線に街まで降りていってた、それなのになんで、この男は私達の前にいるの?
…迂回した…?
そんなの、もう…
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
あなた!!危ない!!!
兄の焦った声が聞こえて、視界がブレる
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
あ"あ"あ"ッ!!!
っはは!!
鮮やかな赤い血が飛び散って、ピッと頬についた
(なまえ)
あなた
に…兄さ…
私を庇って肩から背中を裂かれ、痛みに悶絶する兄に、私は何も出来ない
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
あなた、怪我…ないか…?
(なまえ)
あなた
だい、だいじょうぶ…、にいさん、血が…
あー…急所狙ったんだけどなぁ
即死出来なかったか
その鬼の言葉に、私は兄を抱えて後ずさる
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
あなた…頼む、…俺を置いて逃げろ…
その、自分の命よりも私を優先する兄に、先程私達を庇って死んだ両親が重なって
目の前が真っ赤に染まった
手に触れた太めの木の枝を握りしめて思いっきり鬼を枝で殴りつける
(なまえ)
あなた
あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!
バキッと音を立てて盛大に折れた枝
ははっ、気が触れたか?そんなもので俺を倒せるわけ…
折れて鋭くなった木の枝を鬼に突き刺した
その感覚は気持ちが悪くて、最悪で
それでも怒りに染まった私は鬼に枝を突き立てるのをやめなかった
(なまえ)
あなた
はっ…はっ…はぁ…
どれくらいそうしていただろうか
東から日の光が差してきた
ピクピクと痙攣するだけで、もう言葉さえ話せなくなった鬼は日に焼かれていく
心底どうでも良かった
(なまえ)
あなた
にぃ、さん…
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
あなた…ごめん、ごめんな…無事か…?
(なまえ)
あなた
…ぅん…
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
あなた…
チュ、と額に口づけが降ってくる
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
…愛してる、…
(なまえ)
あなた
待って、兄さん…
(なまえ)
あなた
私、も…大好き…だから、兄さん…
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
あぁ、…
(なまえ)
あなた
兄さん、傷、血が止まらないよ…どうしよう…
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
うん、
ビリッ…
なんとかして止血を、と思って自分の着物の裾を破く
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
な、にして…
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
… あなた、もういいよ…
(なまえ)
あなた
…うるさい、
(なまえ)
あなた
まだ生きてる…まだ喋ってる…お願い
(なまえ)
あなた
可愛い妹のお願い聞いてよ
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
…ッ…
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
あ"っ…
ぐ、と裂いた着物で背中を強く縛って、止血する
ビリッ、ビリビリ…
一本じゃ足りず、止血を終える頃には足首まであった着物は足の付け根までなくなっていた
(なまえ)
あなた
兄さん、背負って家まで行くから
(なまえ)
あなた
もう少し頑張って
夢咲 瑠夏
夢咲 瑠夏
(なまえ)
あなた
…は、ぁ"…
自分よりも大きい図体の兄を運び終えて、体中の力が脱力する
気を失ってしまった兄を清潔な布団に寝かせ、自分に出来る最大限の処置を終えてすぐ
私も気絶するように眠ってしまった

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