処刑当日
夜明け前の静寂を破り、司くんが再び牢獄に訪れた
その後ろには、盆に乗せられた紅茶
司くんは自らの手で、格子越しにカップを差し出した
一口飲んだ瞬間
私はその『不自然さ』に驚いた
『甘すぎる』
飲み終えると、彼は私の手からカップを奪うように回収し、
代わりに私の耳元に顔を寄せた
聞き返そうとした瞬間、急激な眠気が私を襲った
視界が揺れ、立っていられなくなる
崩れ落ちる私を、格子の隙間から、
司くんが強く支えた
司くんの言う『恨む』は、私への憎しみではなく、
『 私を守れなかった自分自身と、この運命への呪詛 』だったのだと
朦朧とする意識の中で、悟った
兵士たちの足音が近づく
司くんの霊的な声が、響き
私の意識は完全に闇へと落ちていった
目が覚めた時、私は揺れる馬車の中にいた
そこには司くんの姿はなく、隣には見知らぬ男が一人














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!