第2話

第2話 からかわれる新人
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2025/09/28 07:17 更新
昼下がりのオフィス。キーボードの音と電話のベルが混じり合う中、田中はいつも通り落ち着いた様子でモニターを見つめていた。

そこへ、小さな足音が近づいてくる。

「せ、先輩……あの、ちょっといいですか?」

声の主は、新人の木村。資料を胸に抱え、緊張した面持ちで立っている。

「どうした?」
田中は視線だけを上げ、ゆるい口調で応じる。

「これ、見積もり作れって言われたんですけど……数字が合ってるか分からなくて」

差し出された紙には、数字がびっしり。木村は眉を寄せて困り顔だ。

田中は書類を手に取り、ちらりと目を通すと、口元だけで笑った。

「木村、昨日コピー機の前で真っ赤になってた顔より、今の方が必死そうだな」

「な、なんで昨日の話出すんですか!」

木村は一気に耳まで赤くなり、慌てて否定する。

「別にいいだろ。昨日の赤さは可愛かったし」

「か、可愛くないです!忘れてくださいってば!」

田中はわざと真面目な顔に戻し、書類の一部を指差した。

「ここの計算、間違ってる。やり直しな」

「ええっ!?全部ですか!?」

「全部。数字ってのは一つ違えば全部崩れる。……木村の顔みたいに」

「それ関係ないですよね!?」

素直すぎる木村の反応に、田中は小さく笑い、オフィスの空気が少しだけ和んだ。

――こうしてまた一つ、企画部に小さな騒動が増えていくのだった。

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