第4話

第4話 残業の夜、距離が近付く
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2025/09/28 07:26 更新
オフィスの蛍光灯が夜の色に変わり、静まり返ったフロアにキーボードの音だけが響いていた。

「木村、大丈夫か?」

田中が肩越しに覗き込み、椅子を少し引いて隣に座る。
「え、あ、はい……ちょっと数字の整理が追いつかなくて」

私の手元の資料をちらりと見た田中は、軽く眉を上げて笑う。

「そうか。じゃあ、こっちの方法でまとめてみると早いぞ」

指先で画面を操作しながら、簡単に効率のいい整理方法を教えてくれる。
でも、隣にいるだけで胸の奥がドキドキして、画面に集中できない。

「……先輩、ありがとうございます」

「いや、別に。困ってる後輩を放っておけないだけだし」

その軽い口調に、思わず顔が赤くなる。
田中はそれに気づいたのか、微笑みながら軽く肩に触れる。

「……木村、ちゃんと顔赤くなってるぞ」

「な、なにそれ……!」

その言葉にまた心臓が跳ねる。
隣にいるだけで、からかわれているだけで、どうしてこんなにドキドキするんだろう。

「でも、頑張ってるな。偉いぞ」

真剣な眼差しでそう言われた瞬間、胸がぎゅっと熱くなる。
私の意識は、もう完全に田中先輩に集中していた――。

夜のオフィスに、二人だけの空気が静かに流れる。
この距離感が、少しずつ心を近づけていく予感がした。

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