思い出してしまうあの日のケーキを
彼女が作ってくれたケーキがもう一度食べたい。
普通のケーキがたべられない。
もう一度、彼女と一緒に。
hotokeを殺した日から
3年が経った今日。
そして、付き合い始めたのも
6年前の今日だった。
付き合い始めてちょうど2年がたったあの日。。。
正直、チョコは好きじゃなかった。
バレンタインのチョコだって本当は
食べてなんかいなかった。
チョコを食べると思い出してしまうから。
死んだ妹のことを
妹はバレンタインの日には必ずチョコを
くれた。
でも突然ある年からもらえなくなった。
それは、妹に難病が見つかったから。
年の離れた妹だったが
ずっと仲もよかった。
でもある日くだらないことで
喧嘩をしてしまって。
_それが妹との最後の会話だとも知らずに
妹は12歳という若さで
息を引き取ってしまった。
だからチョコレートなんて
食べたくもなかった。
なぜだか涙が止まらない。
妹のチョコと味が似ていたからかもしれない。
美味しい。美味しい。美味しい。
どうして重ねてしまうのだろう。
彼女が妹になることが出来なければ
妹が彼女になることも出来なかった。
どうして美味しく感じるのか。
その答えは案外すぐに見つかった。
同じ愛した人だから。
似てもいないのに
なぜだか笑顔が似ているように
見えたのはそのせい。
だから訂正する。
俺は愛した人すべてにもう1度会いたい。
だって愛してるんだもん♡
妹のこともhotokeのことも
勿論ないこのことだって。
ガラスの表面を見て移った俺の顔は
まさしく 悪魔 のような顔だった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!