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第47話

寂寥の栄養剤
7
2024/06/04 07:00
笑顔ってすごい。

忘れられるんだ。

あんなに苦しい思いが全て嘘のように消えるんだ。

だから、私は笑う。

感じたくないから。

知りたくないから。

辛いのは嫌いだから。

笑う。

私は今も嘘の口角を上げて笑っている__。
あなた
寂しくないよ
あなた
会わなくても大丈夫
あなた
私のことよりお仕事頑張って
嘘を言えば、思えば、楽になる。

昔から好きでしょう?

私が嘘をつくことなんて、慣れたものだ

私の得意分野じゃないか!
あなた
エヘヘ
このときの私は相当、おかしくなっていたとおもう。

嘘に固めた私が生きるのが気持ちよくも悪くもあって、どうしようにもない。

寂しさが今の私を作り出す。

滝のように寂しさという栄養剤が私に与えられて、見る見るうちに綺麗な花が腐っていく。

………………………………

……………

……

私は家に帰るなり、化けの皮が剝がれ落ちる。

行き場のない感傷。

どこに向ければ、私の花はもとに戻るの。

どこにこの思いをぶつければ、隠れた太陽が見つかるの。

……気づけば、辺りは荒れていて。

綺麗好きの私にしては異常な部屋になっている。

この部屋が私の心の部屋ならば、見るに一致してるな…

なんて思って天井を見上げてる。

そして、汚い部屋の中心に私という花が萎れてく。

あとどれくらいで落ちるだろう。

椿の花のようにきれいなまま終わりを向かえてしまうのだろうか__。
あなた
…!
感傷に浸っている私を引き戻したのは、インターフォンの音だった。

私は、荷物を頼んだか曖昧なまま玄関を開ける。
???
こんにちは
あなた
どうして…?
そこにいたのは、翠の職場にお邪魔したときに知り合った俳優だった。
俳優
嫌だなぁ笑
俳優
連絡したじゃないか
あなた
え?
俳優
嘘だよ
私はなぜそんな嘘をつくのかわからなかった。
あなた
!!
俳優は、私の断りなしに玄関に入ってくるなり、扉を閉め鍵をかけた。
あなた
…え?
困惑するしかない。

何が起こっているのかわからない。
俳優
色々聞いたよ
あなた
なにを…です?
俳優
彼氏に全然連絡つかなくて寂しい思いしてるらしいって
私はひどいと思っていながら、最初に翠を疑った。
俳優
はは、翠ちゃんから聞いたんじゃない
俳優
情報の洩れは至る所から出るものだよ
男は私の腕を掴もうと忍び寄る。

それに気づいて私は、この男から離れたくて逃げ場のないリビングへ走る。

俳優
逃げなくてもいいじゃん
あなた
……!!
ダメだ、足が思ように動かない。

私が、ベッドに押し倒されるのも必然だった。
あなた
は、はなして…!
俳優
いやだね
私に込められる力は強くなる。

私が動こうと逃げようとするたびに痛くなる。
俳優
ねぇ
俳優
もしかして、あなたちゃんって××?
今まで純粋で、綺麗なままだったのは、あの人の優しさだったのかもしれない。

でもね、もうちょっと積極的になってもでもよかったんだよ

嫌じゃなかっただろう。

こんなに嫌悪感味わっていなかっただろう。

どうして、ここまでほっといたの。

どうして、四年間も傍にいたのに一度も私を汚さなかったの。

もっと早く、私を_____。

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