ドアを開けると、スマホから顔を上げてこちらに向かってくる。
彼にしては珍しい。
いつもならもっと素っ気ない返事をするだけなのに。
「どうしたの、?」
「....こないだ上げたばっかりじゃん、。」
そういって私に手を差し出す。
....いつものことだ。
私は諦めの溜息を吐いて財布からお金を取り出し彼に渡した。
「....少なくない」
「................」
思わず彼から顔を逸らす。
「え、?」
そういって彼は私を優しく包み込む。
「....今日友達と出掛けて、ランチしてそれで服とかいろいろかったから....、」
「....え、?」
彼は耳元でそう呟くと私の溝落ちを殴った。
「....っっっはっ、、」
気持ち悪い。上手く呼吸ができない。
視界が霞んで涙が出ていることに気づく。
「....っはあ、、はぁ、....なに、するの....」
息を整えながら言葉を発しているうちにも涙は止まらない。
……To be continued
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。