作業をしていると、隣りのデスクのヒトが私へ声をかけてきた。
彼はビクリと震える。視線の先には、キューがいた。彼女はこちらを睨めつけている。
ーー完全に嫌われたようだ。
私はヨンの手元に置かれている書類をヒョイと取って、目を通す。
ーーあぁ、なるほど。
ヨンは、書類をもったままフルフルと震えて、サッと顔を青ざめた。
ヨンの服の裾を捕まえた。ヨンはビクリと震えて、振り返った。
次の瞬時、ビリリ!と痺れるような険のある声がオフィスに響いた。
キューが、ツカツカとヒールの踵を鳴らしながら、こちらへ早足にやって来て、ヨンのデスクに身を乗り出しながら、鋭い眼力で肉薄する。
フラリと、白いヒトが私のデスクに手を付いて、ニヤニヤと笑いながらキューに告げる。キューは舌打ち一つして、去ってゆく。
キューは、すれ違いざまにヨンの耳元で囁いた。
対するヨンといえば、上擦った声を上げて震えていた。若干、顔が赤い気がする。緊張しているのだろう。
白いヒトは、座っている私の為に腰を屈ませると耳元で囁いた。
内容を把握したので、頷いた。白いヒトはニカッと笑った。
至近距離で言われた。
ゼロが、ヨンの逃げようする首根っこを引っ掴んだ。
こうして、私はオフィスを後にした。


















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!