第31話

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2026/09/10 00:00 更新




月曜日。





6時間目の授業が終わると、
担任の先生が教室に入ってきた。



〈はい、今日は進路の話するぞー。〉



教室の空気が少し変わる。


〈もう高校3年生だからな、
   そろそろ本格的に決めていかないといけない。〉

『……進路か。』





机の上に配られたプリントを見る。


第一希望。

第二希望。

卒業後の進路。



〈まだ決まってない人もいると思う。
   焦って今日決めろって話じゃないからな。〉



友達が隣からプリントを覗く。



〈あなたはもう決めた?〉

『まだ。』

〈私も全然。〉

『何かやりたいこととかないの?』

〈んー、大学行こうかなってくらい。あなたは?〉

『私も、大学かな。』

〈どこ行くの?〉

『それがまだ決まってない。』




プリントの空欄を見つめる。



将来何をしたいのか。

どこに行きたいのか。

まだ、はっきりしていなかった。






放課後。






進路希望調査を書きながら、なかなかペンが進まない。

『……どうしよう。』




家に帰ってからも、机の上にプリントを広げたまま。




第一希望__




空白。





スマホが震える。


h『今何してる?』

『進路のこと考えてる。』

h『もうそんな時期か。』

『うん。』

h『決まった?』

『全然。』


少しして。


h『俺もまだ、
  日本にいたら高校卒業して進路考えてたんかな。』

『どうだろうね。』

h『やりたいことあんの?』

『分かんない。』

h『そっか。』

『温斗は?』

h『俺?』

『うん。』

h『俺は、もっと上にいきたい。』




その返事を見て、少し考える。


温斗は昔から、
やりたいことを口にするときだけ妙に真っ直ぐだった。


韓国へ行くと決めたときもそうだった。

周りがどう言おうと、「やってみたい」と言っていた。





『いいな。』

h『何が?』

『やりたいことが決まってるの。』

h『でも、無理に決めんくていいんちゃう?』

『でも、高校3年生だよ?』

h『だからって、
   今すぐ一生のこと決めんくていいだろ。』

『……。』

h『とりあえず、やってみたいこと探せばいいやん。』

『簡単に言うなあ。』

h『じゃあ一緒に考えるか?』

『韓国から?笑』

h『電話でならリアルタイムで考えれるくね。』

『それはそうだけど。』

h『昔も宿題分かんないとき電話してきたやん。』

『それは温斗が頭よかったから。』

h『今も俺のほうが頭いい。』

『それはないですね。』




思わず笑ってしまう。




机の上の進路希望調査を見る。

まだ空欄は埋まらない。



でも、さっきより少しだけ気持ちが軽くなった。



『ありがと。』

h『何が?』

『なんとなく。』

h『よお分からんけどよかったわ。』




スマホを置く。


窓の外は、もう暗くなっていた。

進路はまだ決まっていない。




それでも。


焦って無理やり答えを出すより、

自分が何をしたいのか、
もう少し考えてみようと思った。

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