第60話

🔹Smeraldo
876
2021/09/20 08:37
花で囲まれたアーチをくぐると、目の前に広がるいつも通りの景色。


だけどそこには一つだけ、いつもと異なる現実が存在していた。
Jn
あなた………?
かけられた声に気付いてゆっくりと振り向く君。


水色のワンピースが風に揺れて、その美しさが僕の息を止めた。


信じられない、僕は夢を見てるのか?



今目の前に広がる光景は

僕の大切な花に囲まれた、僕の大切な人。




あなたがゆっくりと僕に近付いてくる。

その手には、いつ見ても美しいSmeraldoの花。

胸元が開いたワンピースから、あの印が少しだけ覗いている。

あまりの美しさに息を呑んでただ彼女を見つめていた。


すぐ近くまで来たあなたがそっと左手を僕の頬に添える。

その顔は涙で濡れていて、潤んだ瞳の奥には僕だけが映っていた。


you
ソク、ジン…、
初めて僕の本当の名前を呼ぶか細い声が、風の音にかき消されそうになる。
you
貴方の探し物は、私…?
あなたの目から零れ落ちた涙が、胸元と手元を同時に濡らした。


君には今まで花びらしか見せることが出来なかった、僕の大切な花ーー

秘密を知ったあなたの姿はこの世で1番綺麗だ


透き通るような青色の花のその形は、
君の胸の印と同じだということ。



そうだ

僕の大切な花は、君自身なんだよ
Jn
あなた…愛してる。



さぁ今度こそ

僕の腕の中へーーー



一生君を、離さない。




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