リヴァイs.
目を閉じても、暗くならない。
白い天井が、焼き付いたまま離れない。
消毒薬の匂いが、肺の奥に残っている。
喉から零れた声は、ひどく弱かった。
身体を起こそうとして、肋が悲鳴を上げる。
どうでもいい。
この程度で止まるなら、最初から止まっている。
――連れて行けばよかった。
思考が、勝手にそこへ戻る。
殴られる前に。
選ばされる前に。
泣く前に。
腕を引いて、夜の街へ消えればよかった。
世界なんて、後からどうにでもなった。
声が、掠れる。
俺が選ばなかった。
世界を、正義を、結果を――
また、選んだ。
目を閉じる。
すると、聞こえる。
――「やめて……!」
――「お願い……!」
耳を塞いでも、止まらない。
あいつの声だ。
泣いて、壊れて、それでも俺を庇う声。
怒鳴るように言った自分を、殴りたい。
あんな言い方で。
あんな切羽詰まった顔で。
――嫌だよ、そんなプロポーズ。
あなたの声が、脳裏で重なる。
当然だ。
あいつは、あんな形で縛られる女じゃない。
それでも俺は、
世界より、あいつを選べなかった。
扉が、静かに開く。
問いは、喉で詰まった。
聞けば、終わる気がした。
ハンジは、少し黙ってから言う。
分かってる。
分かってた。
それでも。
声が、震えた。
あいつは今、泣いてないだろう。
泣く時間は、全部俺の前で使い切った。
だからこそ、余計に苦しい。
ベッドの上で、天井を見る。
ここにいれば、生きられる。
兵長として、また戦える。
でも。
――あの夜に戻れるなら。
俺は、何も考えずに言ったはずだ。
世界なんていらねぇ。
お前と行く。
それを言えなかった罰を、
これから一生、受け続ける。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。