前の話
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あの子は虐められてた
私は見て見ぬふりをしていた
それでも好きだった
汚い子には触るなと
親から言われ続けた
別に、それくらい私でもわかる
親の早とちりで心が痛い
夜は私は部屋にはいない
外を歩いて、夜空を見上げる
あの子に抱いた感情を消すように
怪獣にもなれるくらいの感情を
私がどれだけあの子の前に現れても
あの子との関係は変わらなかった
私は親といるはずなのに
独り淋しくご飯を食べた
私が生き続ける価値とは?
そんなものはない
南ちゃん、どうだい?
こんなにも醜い私を
赦してくれる?
そうだ
私が
この場から───────
私の信念とは?
ねぇ、南ちゃん
私は怪獣なの
これだけを知っていて欲しい
そうか
聴こえないなら仕方がない
聞こえてはいるんだろうけど
君は嘘が得意だった
私の気持ちも知らずに
私の気持ちが壊獣になっていく
いつの日かお泊まり会をした
私はもうあなたと関わることができなくなった
あなたも理解はしていた きっとね
それでもあなたは
私を心の拠り所にしてくれた
私は親に言われた時
前に進むことをやめてしまっていた
もう殺してくれ
愚かな私を
あなたは突然そう言った。
こんな海辺へ来て。
冷たいと言いながら海の深くへと進んで逝く。
私はあなたを追えなかった。
あなたが溺れたことだけが、
私の心に刻まれた。
私に生きる価値などない。
私の精神はそうして崩壊して行った。
私もいなくなってあげる
あなたの元へ逝くね
わたしのしんねんとは?
この声は本当に聴こえない
メラメラと燃える音だけが響いている
パチパチと跳ねる音が私を燃やす
あなたは私に夢を見せてくれた
独りぼっちの私に
それでも、私の初恋は実らなかった
私は天にも昇れず、
地に足を着くこともできなかった
私の死体はあなたのお墓の隣だった
私は信者に生まれ変わった
それでもあなたを諦められなかった
私は協会のフックにロープを括り付けた
そのロープには私の頭ほどの
大きさの輪があった
私はそこに頭を入れて
椅子を蹴り飛ばした
あなたと2人きりだった私は、
あなたの前で先に死んだ。
あなたは私のあとを追うように、
私の真似をしてくれた。
私を、大好きだと言ってくれた!
ここまで読んでくださり、
ありがとうございました。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!