駆けつけた時にはもう手遅れだった。
辺りには少し前までは元気に遊んでいたようだった子供たちや買い物帰りだっただろう女性、スーツをしっかりと身につけた数人の男性などたくさんの人が真っ赤に染まって倒れていた。
誰もがそう思っていた。
いや、1人を除いては。
倒れた男性を凝視していた涼雅のこめかみがピクっと動き、何かを呟いて、気づいた頃にはその場を離れその背中はすでに遠ざかっていた。
5人は涼雅が走り去って行った船のある方向に急いだ。
海岸へ着くと、涼雅が足を砂まみれにしてへたりこんでいた。
目線を上げたその先は立派な海賊船が優雅に真昼の海の上に浮かんでいた。
今にも愉快な歌声が聞こえてきそうだった。
その海賊旗は全員が恨みに恨んできたあのシンボルにとてもよく似ていた。
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。