りうらサイド
バサッ
頭が痛み、慌てて布団に戻る。
外は暗い。
けれどここは家じゃない。
ドサッ
ベットから立ち上がろうとして、体が思うように動かず床に倒れてしまった。
俺はパニックだった。
勉強しなければ、家に帰らなければ。
動きたいのに動かない体。
だんだん焦って呼吸が乱れていく。
咳をするたび痛む頭と喉。
意識も朦朧としてきた。
もうどうしようもなくなって、誰でもいいから助けてほしいと願った。
ガチャ
ふと、さっきの夢がフラッシュバックする。
いや、現実だったのかもしれない。
そう思うと反射的に遠ざけてしまった。
バシッ
ぎゅっ
俺は、こんなに優しい言葉をかけてくれる人の手を振りはらってしまった。
こんなに温かい人を疑って、遠ざけてしまった。
不意に、ないくんが俺の方に手を伸ばす。
まだあの夢が少し怖くて目を瞑ってしまった。
スッ
そう言って俺の涙を拭う。
そこでようやく気づいた。
一緒に深呼吸してくれる。
それだけで、この人は俺を遠ざけないと、安心することができた。