第55話

55話
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2026/07/12 15:00 更新
EP.55

Dispatch



付き合って、もう八ヶ月が経っていた。

最初は。

コーヒーを買いに来る“芸能人のお客さん”だったのに。

今では。

週の半分以上を一緒に過ごしてる。

人ってこんなに変わるんだな、と時々思う。



旅行先に選んだのは、バリだった。

海外なら比較的自由に動ける。

事務所とも相談して。

最低限の対策もして。

やっと実現した、二人だけの旅行。



💬「……ほんとに来ちゃった」

            🐶「うん」

ホテルのテラス。

夜風。

遠くに見える海。

ミンギュは隣で嬉しそうに笑っていた。

            🐶「幸せ」

💬「顔が」

            🐶「隠してない」

最近ほんとそう。

前よりずっと、“恋人”を隠さなくなった。



旅行中のミンギュは、完全に彼氏だった。

朝起きてもくっついてくるし。

歩けば自然に手を繋ぐ。

写真もいっぱい撮る。

            🐶「あなた、こっち」

💬「また撮るの?」

            🐶「かわいいから」

💬「そればっか」

でも。

ミンギュは本気でそう思ってる顔をする。

だから困る。



三日目の夜。

二人で海沿いを歩いていた時。

ミンギュが急に立ち止まった。

💬「……どうしたの」

すると。

ミンギュが少し真面目な顔をする。

            🐶「なんかさ」

💬「うん」

            🐶「最近、普通に未来考える」

静かな声。

波の音だけが聞こえる。

            🐶「一年後とか」

            🐶「もっと先とか」

心臓が少し跳ねる。

            🐶「あなたが隣にいる前提で考えてる」

その言葉が。

嬉しいのに。

少し怖いくらい真っ直ぐで。

💬「……重い」

すると。

ミンギュが吹き出した。

            🐶「またそれ」

💬「だってほんと重い」

            🐶「でも好きでしょ」

💬「……」

否定できない。

すると。

ミンギュが嬉しそうに笑った。

そして。

自然にあなたの腰を引き寄せる。

            🐶「帰ったらもっと忙しくなる」

💬「……うん」

            🐶「だから今、いっぱい充電してる」

低い声。

近い距離。

そのまま。

ミンギュがそっとキスをした。

海風が静かに揺れる。

幸せだった。

本当に。



だから。

翌朝の通知を見た瞬間。

頭が真っ白になった。

💬「……え」

ベッドの上。

震える指でスマホを掴む。

画面。

【SEVENTEEN ミンギュ、バリで女性と旅行】

そして。

ぼやけた写真。

帽子を被ったミンギュ。

隣には、自分。

💬「……っ」

息が止まる。

その瞬間。

後ろから腕が伸びてきた。

            🐶「……見た?」

寝起きの低い声。

でも。

ミンギュももう気づいてる。

💬「ミンギュオッパ……」

すると。

ミンギュは数秒スマホを見つめて。

小さく息を吐いた。

            🐶「……早かったな」

意外だった。

もっと焦ると思ってた。

でも。

ミンギュは静かだった。

静かすぎて。

逆に怖いくらいに。



💬「どうするの……?」

小さく聞くと。

ミンギュはゆっくりあなたを見る。

そして。

そっと頬へ触れた。

            🐶「まずは、あなた守る」

低い声。

真っ直ぐな目。

その瞬間。

胸がぎゅっと苦しくなる。

たぶん。

二人の恋は今、初めて“現実”に見つかってしまった。

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