第15話

接客業/先輩の裏側
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2023/01/27 07:09 更新
コンビニでスポドリやらゼリーやらと一緒にコンビニ袋を買う。


「…………、あれ、?」


バックヤードに戻ると、清水の姿は無かった。


「あ、暁、」


店長が俺のことを呼び止める。


「……清水の事なんだけど、1回お前からガツンと言ってくれないかな」


「……え、?」


店長の言葉を頭の中で繰り返す。


「……あ、あの……、清水は悪気は無いらしくて、」


「あいつが他の奴らに嫌われてるの、お前も知ってるだろ?」


店長がしっしと手をひらひらさせる。

……確かに、清水は初日に皿を割ってしまったせいでスタートのイメージがとても悪くなってしまった。

それからはミスはひとつも無いはずなんだけどな、


「……わ…、かりました、俺から言っておきますね」


確かに、絨毯に吐くのは良くないからね。

……それに、

俺は視線を清水が座っていた辺りに移す。


「……あいつ、また吐いちゃったっぽいですね、、」


そこには吐物がパシャパシャと跳ねている。


「……俺、袋取り上げちゃったんですよ、清水困っちゃったかも」


「暁は悪くないよ。すまんなあいつの世話なんか、、宜しく頼むよ」


そう言って去っていく店長に一礼する。

……、、なんか嫌な言い方、

俺は軽く床を拭き取って清水を探す。

……階段かトイレだろうな、

俺は隣の扉から階段に出る。


「……、、清水、?」


そこには放心状態の清水が居た。


『……あ、先輩、、』


清水が俺の方を見上げる。

……熱っぽいなこいつ、、


「……トイレまで行こうと思ったんだよな」


清水がこくんと頷く。


『……、せん、ぱ、』


俺のコートを掛けようとすると清水が軽く抵抗した。


「……掛けないとみんなにバレちゃうよ、?」


清水がふるふると首を振る。

テキパキと仕事が出来る清水がこんなことをすることは、まず、ない。


『……まだ、…、』


清水が下に視線を向けるから俺も一緒に視線を下ろす。

そこにはゆっくりと広がっていく下痢。


……なるほどね、


「……しんどいなぁ、」


俺は背中を撫でる。

少し生暖かくて、背中にも入り込んでいることは容易に想像出来た。


『……せな、か、』


分かってる。


「……大丈夫だから、」


俺は少しでも楽になるように背中をさする。

するとそれが逆効果だったのか、清水が口に手を当てる。


『……せん、ぱ、袋、、』


……ここで袋使っても変わんないんだけどな、

俺は袋を口元に広げてそのまま背中をさすった。


『……う、……ゔぇ、』


半開きになった口から、胃液がボタボタと落ちていく。

……ぁ、、なんか俺ダメだ。

俺は目を瞑る。

……やべぇ、貰いそう。


『……は、…………はぁ、……、ッぉえ、』


びしゃ、びしゃ、と定期的に袋がガサガサと音を鳴らす。

……なんか、、やばい、


清水の背中をさする手が止まる。

……動いたらダメかも、


「…………、、っぅ」


ぶくぶくと何かが湧き上がってくる。

俺は静止したまま思考を巡らせる。

……やばい、これ、わんちゃん吐く、


「……ごめ、俺先荷物取ってくる、」


そう言って清水の頭に手を置いて、階段を2段飛ばしで駆け下りる。

あー待って、待って、やば、

目を細め、歯を食いしばり、男子トイレの個室に駆け込む。

……間に合った、

ガバッと蓋を開けて、そこに顔を突っ込む。


「…………ッーーーーえ゛、」


びしゃーーっと水っぽい音が続く。

……やばすぎ、最悪、

俺はうっすら目を開ける。

中にはしっかり朝食どころか、昨日の夕食っぽいものまで見える。


「…………はっ、……、……きつ、」


蓋を持ち上げたまま一点を見つめる。

……やべぇ俺、人のゲロで酔っちゃった、

……中々最低だな、


「はっ、………………、ゔぇ、」


汚れた唾液を便器の中に落とす。

……清水、ごめんホントに、

心の中で謝る。


2分程動かず息を整え、ふと立ち上がり水を流す。

……荷物、持ってこないと、

俺が荷物を持って帰ってきた頃には、清水はギャン泣きだった。

どうやら俺が吐きに行ったことがバレたらしく、自分を責めてしまったらしい。

少し過呼吸気味になっていた清水を優しくなだめ、今日は帰りな、とタクシーを予約する。

……店長に叱れって言われたけど、今日はいいかな。

俺はタクシーまで清水を送り届け、仕事に戻った。
________清水から通知が来たのは、深夜0時


『先輩、こんな夜中にすみません、』


「熱上がっちゃった?」


そう返すと、清水がそれを肯定する。


『動けなくて、、来て貰えませんか』


びっくりした。

そもそも0時なんて時間に清水からのメッセージは初めてだったし、来て貰えませんか、と要求されたのである。


「分かった」


俺はゆっくりと体を起こし、目を擦る。

……相当堪えてるんだな、


『すみません』


『ありがとうございます』


2回鳴らした通知をみて、思わず口角が緩む。

……どっちか1つで十分なのに

俺は財布と水だけ持って清水の家に向かった。








________ピンポン、


インターホンを鳴らす。


「………、」


……あれ、出ないな


「……清水?入るよ?」


そっと玄関の扉を開ける。

……開いてるし、この不用心、

サッと靴を脱いで、慣れた廊下を歩く。

寝室は……確かこっち、

他の部屋を確認しながら、寝室まで足を運ぶ。


「清水ー?」


部屋に自分の声がこだます。

……あれ、居ない、

……てことはリビングか


そっと部屋の扉を閉じてリビングまで小走りする。


「……清水、」


『……ぅ、…、』


枯れたような声にふとソファに目を向ける。


「……死んでない、よな」


仰向けになった清水の口から溢れるように吐物が漏れ、ぶじゅっと汚泥が後ろから吹き出す。


『……救急車…、っ…すみ、ませ、』


清水が必死に声を押し出す。


「……うん、今呼ぶ」


『……ぉえ゛、…、』


動けないままびくんと体無理矢理跳ね、清水の口から水が吹き出す。


……仰向けだと危ない、


「……俺居るからなー、もう少し頑張れ、」


俺は清水の体を引き寄せ、抱きしめたまま頭を撫でる。


『……ふ、…………、ひぐっ、』


必死に呼吸を整えているのが伝わってくる。


『…………は、……、はっ、……、、ぇ゛』


目を真っ赤にして、顔を歪め、頭を下げる。

……喋れないのか、


そのとき、サイレンが聞こえ、それがこちらへ近づいてくる。


……良かった、


『……、』


清水の目が涙で埋まる。


「うん、…しんどかったな、」


俺は指で目元の涙を拭き取る。

やがてサイレンが止まり、ガチャりと玄関が開けられる。

「……こちらですね、症状や血液型など細かい情報分かりますか」


……血液型、、


「症状は……えっと、嘔吐、熱、とか……血液型はA型です」


その後も今日あったことを細かに伝え、救急車に一緒に乗り込む。


「……清水ー、」


『……ゔー、』


点滴に繋がれた清水が苦しそうに顔を横にする。

救急隊員から脱水だの感染症だの色々な言葉が飛び交う。


「……大丈夫ですよ、少し無理しすぎたのかもしれないです、」


ずっと清水を見詰めていた俺にふと隊員が話しかける。


「無理、しすぎ、……ですか」


「ストレス溜まってたのかもしれませんね、、たまには休ませてあげるといいかも、」


目の瞳孔を確認しながら隊員が話す。

こいつ嫌われてるって自覚してたっぽいからな、

……これからは俺が助けてあげないと、















毎度おなじみ微妙な終わり方です。

一応前々回の続きです!笑
最近気づいたんですけど、まさかの累計入りしててびっくりしました笑

こんなに投稿してなかったのにデイリー今日入ってたし…

これでストック0になるんですけど嬉しかったので載せます!笑

ちなみに読み直してません。誤字とかあったらすみません、

いつもありがとうございますー!

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