コンビニでスポドリやらゼリーやらと一緒にコンビニ袋を買う。
「…………、あれ、?」
バックヤードに戻ると、清水の姿は無かった。
「あ、暁、」
店長が俺のことを呼び止める。
「……清水の事なんだけど、1回お前からガツンと言ってくれないかな」
「……え、?」
店長の言葉を頭の中で繰り返す。
「……あ、あの……、清水は悪気は無いらしくて、」
「あいつが他の奴らに嫌われてるの、お前も知ってるだろ?」
店長がしっしと手をひらひらさせる。
……確かに、清水は初日に皿を割ってしまったせいでスタートのイメージがとても悪くなってしまった。
それからはミスはひとつも無いはずなんだけどな、
「……わ…、かりました、俺から言っておきますね」
確かに、絨毯に吐くのは良くないからね。
……それに、
俺は視線を清水が座っていた辺りに移す。
「……あいつ、また吐いちゃったっぽいですね、、」
そこには吐物がパシャパシャと跳ねている。
「……俺、袋取り上げちゃったんですよ、清水困っちゃったかも」
「暁は悪くないよ。すまんなあいつの世話なんか、、宜しく頼むよ」
そう言って去っていく店長に一礼する。
……、、なんか嫌な言い方、
俺は軽く床を拭き取って清水を探す。
……階段かトイレだろうな、
俺は隣の扉から階段に出る。
「……、、清水、?」
そこには放心状態の清水が居た。
『……あ、先輩、、』
清水が俺の方を見上げる。
……熱っぽいなこいつ、、
「……トイレまで行こうと思ったんだよな」
清水がこくんと頷く。
『……、せん、ぱ、』
俺のコートを掛けようとすると清水が軽く抵抗した。
「……掛けないとみんなにバレちゃうよ、?」
清水がふるふると首を振る。
テキパキと仕事が出来る清水がこんなことをすることは、まず、ない。
『……まだ、…、』
清水が下に視線を向けるから俺も一緒に視線を下ろす。
そこにはゆっくりと広がっていく下痢。
……なるほどね、
「……しんどいなぁ、」
俺は背中を撫でる。
少し生暖かくて、背中にも入り込んでいることは容易に想像出来た。
『……せな、か、』
分かってる。
「……大丈夫だから、」
俺は少しでも楽になるように背中をさする。
するとそれが逆効果だったのか、清水が口に手を当てる。
『……せん、ぱ、袋、、』
……ここで袋使っても変わんないんだけどな、
俺は袋を口元に広げてそのまま背中をさすった。
『……う、……ゔぇ、』
半開きになった口から、胃液がボタボタと落ちていく。
……ぁ、、なんか俺ダメだ。
俺は目を瞑る。
……やべぇ、貰いそう。
『……は、…………はぁ、……、ッぉえ、』
びしゃ、びしゃ、と定期的に袋がガサガサと音を鳴らす。
……なんか、、やばい、
清水の背中をさする手が止まる。
……動いたらダメかも、
「…………、、っぅ」
ぶくぶくと何かが湧き上がってくる。
俺は静止したまま思考を巡らせる。
……やばい、これ、わんちゃん吐く、
「……ごめ、俺先荷物取ってくる、」
そう言って清水の頭に手を置いて、階段を2段飛ばしで駆け下りる。
あー待って、待って、やば、
目を細め、歯を食いしばり、男子トイレの個室に駆け込む。
……間に合った、
ガバッと蓋を開けて、そこに顔を突っ込む。
「…………ッーーーーえ゛、」
びしゃーーっと水っぽい音が続く。
……やばすぎ、最悪、
俺はうっすら目を開ける。
中にはしっかり朝食どころか、昨日の夕食っぽいものまで見える。
「…………はっ、……、……きつ、」
蓋を持ち上げたまま一点を見つめる。
……やべぇ俺、人のゲロで酔っちゃった、
……中々最低だな、
「はっ、………………、ゔぇ、」
汚れた唾液を便器の中に落とす。
……清水、ごめんホントに、
心の中で謝る。
2分程動かず息を整え、ふと立ち上がり水を流す。
……荷物、持ってこないと、
俺が荷物を持って帰ってきた頃には、清水はギャン泣きだった。
どうやら俺が吐きに行ったことがバレたらしく、自分を責めてしまったらしい。
少し過呼吸気味になっていた清水を優しくなだめ、今日は帰りな、とタクシーを予約する。
……店長に叱れって言われたけど、今日はいいかな。
俺はタクシーまで清水を送り届け、仕事に戻った。
________清水から通知が来たのは、深夜0時
『先輩、こんな夜中にすみません、』
「熱上がっちゃった?」
そう返すと、清水がそれを肯定する。
『動けなくて、、来て貰えませんか』
びっくりした。
そもそも0時なんて時間に清水からのメッセージは初めてだったし、来て貰えませんか、と要求されたのである。
「分かった」
俺はゆっくりと体を起こし、目を擦る。
……相当堪えてるんだな、
『すみません』
『ありがとうございます』
2回鳴らした通知をみて、思わず口角が緩む。
……どっちか1つで十分なのに
俺は財布と水だけ持って清水の家に向かった。
________ピンポン、
インターホンを鳴らす。
「………、」
……あれ、出ないな
「……清水?入るよ?」
そっと玄関の扉を開ける。
……開いてるし、この不用心、
サッと靴を脱いで、慣れた廊下を歩く。
寝室は……確かこっち、
他の部屋を確認しながら、寝室まで足を運ぶ。
「清水ー?」
部屋に自分の声がこだます。
……あれ、居ない、
……てことはリビングか
そっと部屋の扉を閉じてリビングまで小走りする。
「……清水、」
『……ぅ、…、』
枯れたような声にふとソファに目を向ける。
「……死んでない、よな」
仰向けになった清水の口から溢れるように吐物が漏れ、ぶじゅっと汚泥が後ろから吹き出す。
『……救急車…、っ…すみ、ませ、』
清水が必死に声を押し出す。
「……うん、今呼ぶ」
『……ぉえ゛、…、』
動けないままびくんと体無理矢理跳ね、清水の口から水が吹き出す。
……仰向けだと危ない、
「……俺居るからなー、もう少し頑張れ、」
俺は清水の体を引き寄せ、抱きしめたまま頭を撫でる。
『……ふ、…………、ひぐっ、』
必死に呼吸を整えているのが伝わってくる。
『…………は、……、はっ、……、、ぇ゛』
目を真っ赤にして、顔を歪め、頭を下げる。
……喋れないのか、
そのとき、サイレンが聞こえ、それがこちらへ近づいてくる。
……良かった、
『……、』
清水の目が涙で埋まる。
「うん、…しんどかったな、」
俺は指で目元の涙を拭き取る。
やがてサイレンが止まり、ガチャりと玄関が開けられる。
「……こちらですね、症状や血液型など細かい情報分かりますか」
……血液型、、
「症状は……えっと、嘔吐、熱、とか……血液型はA型です」
その後も今日あったことを細かに伝え、救急車に一緒に乗り込む。
「……清水ー、」
『……ゔー、』
点滴に繋がれた清水が苦しそうに顔を横にする。
救急隊員から脱水だの感染症だの色々な言葉が飛び交う。
「……大丈夫ですよ、少し無理しすぎたのかもしれないです、」
ずっと清水を見詰めていた俺にふと隊員が話しかける。
「無理、しすぎ、……ですか」
「ストレス溜まってたのかもしれませんね、、たまには休ませてあげるといいかも、」
目の瞳孔を確認しながら隊員が話す。
こいつ嫌われてるって自覚してたっぽいからな、
……これからは俺が助けてあげないと、
毎度おなじみ微妙な終わり方です。
一応前々回の続きです!笑


最近気づいたんですけど、まさかの累計入りしててびっくりしました笑
こんなに投稿してなかったのにデイリー今日入ってたし…
これでストック0になるんですけど嬉しかったので載せます!笑
ちなみに読み直してません。誤字とかあったらすみません、
いつもありがとうございますー!












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!