あたしには仮面をかぶる必要のない友達ができたけど、まふゆにはいない。
最近、音楽活動を始めたらしいけど、そのサークルの人たちの前でも、「優等生」のまふゆでいる。
まふゆが仮面を被らないのは、あたしの前だけ。
このままでは……まふゆは、きっと壊れる…
まふゆはもうすでに、ほとんどの感情を無くしてしまった。
ご飯の味もわからないし、好きなものもわからなくなったみたい。
あたしは、友達のおかげで、そこまでにはなっていないけど。
でも、たまに限界が近づくと、何もしたくなくなるし、好きなこともしたくなくなる。
…と言っても、やりたいことなんてほとんどできないんだけど。
あたし達はまだ、仮面を被り続けないといけない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!